仕事で改善を図らないサラリーマンが下層クラスな理由

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職場に仕事のやり方を全然変えない人いませんか?

非効率な従来通りのやり方に固執する人です。

どの職場にも必ずいます。

誰しも慣れ親しんだやり方を好むので仕方ないかもしれません。

しかし、現状維持に甘んじて仕事のやり方を変えられない人は優秀とはいえません。むしろ低能といえます。組織のレベルを上げられません。

本記事を読むことで、業務改善をしない会社員になる弊害を知り、よりよい仕事人になることができます。

目次

1 強い会社には改善が必要

ロンドンスクール・オブ・エコノミクスのニック・ブルームとマッキンゼーのスティーヴン・ドーガンは、マネジメントの実践事項と企業パフォーマンスの関係を調査した。

……マネジメントの実践事項は業績の差に関連しており、企業パフォーマンスの全分散の10パーセントを説明することが示された。つまり、製造から顧客サービス、人材管理、財務まですべての面にわたって最もよい実践事項を採用した企業は、そうでない企業を約10パーセントの確率で上まわる傾向があるということだ。

フィル・ローゼンツワイグ『なぜビジネス書は間違うのか―ハロー効果という妄想』(日経BP社、2008年5月)207-208ページ
著:フィル・ローゼンツワイグ, 翻訳:桃井 緑美子
¥2,075 (2022/09/01 19:44時点 | Amazon調べ)

『なぜビジネス書は間違うのか』は、ビジネス書にありふれた「こうすれば成功する最高の戦略」は存在せず、それはハロー効果によってでっち上げられた架空のストーリーであると述べています。

そんな都合のよいものはビジネスでは存在しない。ベストセラーのビジネス本に成功の秘訣が書かれているなら、現代では成功した会社に溢れているはずですが、そうはなっていません。

同書は、ビジネスの成功原因を分析するビジネス書を厳しく批判しています。

そんな同書が、「すぐれた科学と呼ぶにふさわしい」と称賛しているのが、前記で引用した調査結果です。

それによれば、「製造から顧客サービス、人材管理、財務まですべての面にわたって最もよい実践事項を採用した企業は、そうでない企業を約10パーセントの確率で上まわる傾向がある」ということです。

ここで注意すべきは、「傾向がある」ということであって、相関関係は認められるが因果関係があるかはわからないということです。

つまり、これからある企業が「製造から顧客サービス、人材管理、財務まですべての面にわたって最もよい実践事項を採用」したとしても、他の企業よりも良くなるとは限らない(因果関係があるかはわからない)ということです。

調査したところ「製造から顧客サービス、人材管理、財務まですべての面にわたって最もよい実践事項を採用」している企業はそうでない会社よりもよかったというだけです。

しかし、相関関係があるということは因果関係があるかもしれません。

つまり、「製造から顧客サービス、人材管理、財務まですべての面にわたって最もよい実践事項を採用」すれば、企業のパフォーマンスが向上する可能性はあります。

厳しいローゼンツワイグさんに「すぐれた科学」と絶賛された調査によれば、パフォーマンスのよい企業はよい戦略を実践していたり、素晴らしいミッション・ビジョンを持っていたり、確固たるパーパス経営を行っているといった、何かキャッチーなことをやっていたわけではありません。

「製造から顧客サービス、人材管理、財務まで」といった各実務分野において、「よい実践事項を採用している」というだけです。

それぞれの分野で仕事のやり方を工夫しているということです。

これを読んで思い出すのは、日本で時価総額圧倒的1位の会社です。

日本で時価総額1位の会社はどこでしょうか。

トヨタ自動車です。

トヨタといえば有名なのは以下どちらでしょうか。

  • カイゼン
  • センリャク

有名なのは「カイゼン」です。

カイゼンは、主に生産現場での作業の見直し活動のことであり、製造の分野においてよりよい実践事項を追求するものといえます。

会社内の各分野での地道なカイゼン、優れた実践方法を追求する会社が強いのです。

2 改善の機会を無視して非効率に甘んじる罪

優れた実践方法、オペレーションはすぐにはできません。

正解もありません。

外部環境も変わります。FAXが登場した当時はFAXを使って仕事をするのが革新的な事務作業効率性に役に立ったかもしれませんが、FAXの使用頻度は激減しています。

会社内のよりより実務作業を突き詰めるには、「最高(best)」は存在せず、「今より良い(better)」があるだけです。

今より良いものにするには、変化が必ず生じます。

良いものにしようと思うなら、現状のやり方から変える必要があります。

しかし、変化が生じるということが多くの組織にとって障害になります。

多くの人は変化を嫌います。組織内で変化が起きようとすると猛反発が起きます。

もし「変化が嫌だ」というだけで、仕事のやり方を変えなかったらどうなるか?

「新しい機械を仕事に使うなんて嫌だ」ということでパソコンを一切導入しなかった会社があったとしたら、時代に取り残されてしまいます。

こんな極端な例を考えるのは、変化を嫌って現状維持を良しとすると業務レベルが上がらないということをなんとなくわかるためです。

「エクセルのマクロを覚えて請求書処理をしてほしいと言っているんですが。それを無視してずっと手打ちで遅い上に間違いが多いんです。」

これは、とある外資系企業の取締役がある従業員について語っていたことです。

当該従業員は、50代後半のローパフォーマー従業員(いわゆる「使えないおじさん」)で、解雇されました。

エクセルを全部手打ちでやっていればそれは大変です。時間がかかります。

時間がかかる大変な作業をすると、その人は「ああ疲れた。。いい仕事したなあ!」と満足してしまいます。これも大問題です。

現状維持を好み、変化を拒絶し、自分の非効率なやり方に固執する。そんな自分を「よく働いている」と自画自賛する。

こんな人周りにいませんか?

こうした人は、組織レベルを上げようとする組織においては重罪人です。

(会社として現状維持が好きな会社もたくさんあるので、そうした会社ではむしろ主流派かもしれません。。)

変化を嫌う従業員がなぜ「人罪」なのか?

当の本人が効率が悪くても自分が頑張ればいいと言っているではないか。

当の本人が良くても会社にはダメです。

そんな使えない従業員でも給料を払っているので、より価値のある仕事をしてもらわないといけません。

無駄な作業に残業代なんてもってのほかです。

また、「人財」の勝手な頑張りは、組織の環境に影響してしまいます。そうした人財が増えて、ダラダラ残業して、お互いに「お前も頑張ってるな。私達優秀層が会社を支えているな」と勘違いし、多数派になり、「非効率に長時間働かない奴はやる気がない」と発言力を高めていく。

なんと恐ろしい組織なのか。

人間は最高の効率性をもって働けるなんてことはありません。

したがって、働き方に非効率な部分があるのはしょうがありません。

良くないのは「今のままがいい」という改善姿勢がないことです。これは組織を衰退させます。

ウォーレン・バフェットがあげる巨大企業が衰退する3要素は以下のとおりです。

  • 傲慢(Arrogance)
  • 官僚主義 (Bureaucracy)
  • 自己満足(Complacency)

「今のままでいい」「むしろ今のままがいい」というのは、傲慢と自己満足の現れです。

4 改善ができる優秀な人は従来の自分を否定できる

変化を受け入れられる人は、変化を受け入れない人と比べると、業務をより良くできます。

業務をより良くできるということは、前記1で述べたとおり、会社のパフォーマンスを向上させられます。

そのため、変化を進んで生じさせる人は、会社にとって重要です。

こうした人が優秀とされるべきでしょう。

(多くの組織では上司の顔色をうかがって言われたことだけをやる人が優秀とされているかもしれないですが。)

変化を生じさせる人とはどのような人でしょうか。

人による変化では、従前のものが否定され、新たなものが採用されます。

破壊と創造がなされるわけです。

本当に優秀な人は、自分の過去のアイデアに挑戦的であり、従来の自分を否定できる勇気を持っています。

ウォーレン・バフェットの60年来のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーはこう言います。

最高のアイデアが無傷のまま1年が過ぎたら、それは無駄な1年である。

デビッド・クラーク『マンガーの投資術』(日経BP社、2017年)209ページ

自分や組織をより高いレベルに導きたいのであれば、「マイベスト」を否定し、それを超えるようなものを生み出す活動をすべきです。

嫌なら変化を起こそうと考える必要はありません。成長なく今のままがいいという人はたくさんいます。

要注意なのは「今のままがいい」という頑なな姿勢は組織にプラスにはなりませんし、傲慢になりがちな点です。

よく自己否定する人は傲慢になるのが難しい。なぜならいつも過去の自分の欠点を明らかにすなければならないから。

本当にデキるビジネスパーソンになりたいなら、創造的破壊者になるべきだ。

勉強して自分のアイデアを壊そう。

本ブログのメインテーマである転職について考えると、盲目的に「今の会社が最高」と考えるのも変化をむやみに嫌って現状維持を図ろうという心理の現われに思えます。

今の職場が最高とは限りません。

よりよい職場を求めて転職もぜひ検討すべきです。白紙で職場変更を検討できる人は、創造的破壊のできるビジネスパーソンです。

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