製薬会社は年収が高い。
外資系製薬会社は特に年収が高い。
そして、バイオ医薬品を手掛ける外資系製薬会社は超年収が高い。
バイオファーマの年収は激しく高いぞ!とはとある転職エージェントから聞いて知りました。
しかし、「バイオ製薬会社ってどんなところがあるのか??」と疑問に思いました。
そんな疑問に答えるための外資系バイオ製薬会社を紹介する記事です。
超高年収会社員になるために転職したいと思っている人は、企業名を知っておくべきです。
リジェネロンの求人情報が気になる方もどうぞ。
1 外資系バイオ製薬会社を頭に入れておくべき理由
なぜバイオ製薬会社の名前を知っておいた方がいいのか?
事前に知っておくことが転職で有利になるからです。
超高年収のバイオファーマの会社の数は少ない。
そのため、あまり求人情報はやってきません。
求人情報を見るとしたらたまにです。
そのたまにやってくる掘り出し物のバイオファーマの求人情報を見た時に、
「こ、この企業は・・!もしや超高年収の外資系バイオファーマでは・・!?」と目をとめることができるか、
「何この企業。名前聞いたことないんだけど。外資の製薬?従業員少ないし、怪しくない・・?」となるか、
事前に名前を知っているかで大きく違います。
ファイザーやノバルティスとかは多くの人が知っていて、聞けばわかるか、少し調べればなんとなくわかります。
しかし、メガファーマでなければ外資系製薬企業はほとんどの人にはなじみがありません。
バイオ製薬を製造販売しているかどうかなんてもっとわかりませんし、当然知らない会社の給料がすごく高いかどうかもわかりません。
自分が超優良企業の求人情報を見過ごさないため、ライバルの求職者が知らないような会社を抜け目なく知っておくことは、転職市場における競合優位性を持つために重要なことです。
2 注目の外資系バイオ製薬会社厳選6社
あまり知られていない外資バイオファーマ6社を紹介します。
ティッカーシンボル | 概要 | 時価総額(百万ドル) | 直近売上高(百万ドル) | 直近利益(百万ドル) | 従業員数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ビオンテック (BioNTech) | BNTX | ドイツに本拠を置く臨床段階のバイオテクノロジー企業。mRNAを用いた新型コロナワクチンを開発した。 | 44,178.45 | 20,164.60 | 10,936.79 | 3,082 |
バイオジェン(Biogen) | BIIB | 神経疾患、免疫疾患を対象とする治療法の発見・開発・製造・提供に重点を置くバイオ医薬品会社。 | 40,815.76 | 10,981.70 | 1,556.10 | 9,610 |
モデルナ(Moderna) | MRNA | メッセンジャーリボ核酸(mRNA)に基づく革新的な医薬品の作成に焦点を当てるバイオテクノロジー企業。 | 79,621.40 | 18,471.00 | 12,202.00 | 2,700 |
リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals) | REGN | 眼病、心臓疾患、がん、炎症性疾患の治療薬の創薬、開発、製造、販売を手掛ける製薬会社。 | 79,636.72 | 16,071.70 | 8,075.30 | 10,368 |
バーテックス・ファーマシューティカルズ (Vertex Pharmaceuticals) | VRTX | 希少疾病である嚢胞性線維症(CF)の治療薬開発に注力するバイオテクノロジー企業。 | 79,163.64 | 7,574.40 | 2,342.10 | 3,900 |
ギリアド・サイエンシズ (Gilead Sciences) | GILD | B型・C型肝炎やHIVなど抗ウィルス約の分野に定評がある大手バイオ医薬品会社。 | 108,592.40 | 27,305.00 | 6,225.00 | 14,400 |
(1) ビオンテック(BioNTech。バイオンテック、バイオエヌテックなどとも呼ばれる)
ビオンテックは、ドイツのバイオテクノロジー企業です。アメリカのナスダック上場企業です。
外資系ですが、アメリカではなくドイツ企業というのがいいですね。
ア ビオンテックは超有名薬を開発している
このビオンテックは、ほとんどの人に関係があるものを開発しています。
ファイザーの新型コロナワクチンです。
「ファイザー」のワクチンとして知られる「コミナティ(Comirnaty)筋注」を開発したのは実はビオンテックです。
ファイザーは、開発と臨床試験の支援と供給を行っています。ファイザークラスの大企業じゃないとたくさん製造して全世界に行き渡らせるのが難しいということですね。
ビオンテックは、新型コロナワクチンで有名になったmRNA(メッセンジャーリボ核酸)を用いたワクチンを従来の手法が通常3年程度かかるところ1年未満で実用化までこぎつけたすごい企業です。
感染症のワクチンだけでなく、がん治療薬の複数のパイプラインを持っています。
イ 財務状況
バイオエヌテックの財務状況を見てみましょう。
楽天証券で証券口座を持つとウェブサイトで以下のようなサマリーが見れます。
よく見ると、上記PLの数字、売上高から売上原価と販管費を引いて出す営業利益の数字が合ってないんですよね。。どうなってるんだろう。
それはひとまずおいておくとして、ビオンテックは自己資本(株主資本)比率が75.13%と厚みがあります。アメリカ企業は自己資本比率が薄めなところが多いですが、ドイツ企業だから違いがあるのかもしれません。
直近2021年12月期の売上高が、前年4億8200万ユーロから超絶ジャンプアップで189億ユーロ!!?
2兆円超ですか。
そして、営業利益も152億ユーロ。どんな利益率なんだ。ほとんど利益じゃないか。
従業員は約3000人しかいない。従業員1人当たりの営業利益は約500万ユーロ。今現在の1ユーロは144円。
つまり、従業員1人当たりの営業利益は7億3000万円!すごい。すごすぎる。儲け過ぎだ。
どれだけすごいか?
日本人みんな大好き(大嫌いかもしれない)三菱商事と比較してみましょう。
ビオンテック(2021.12) | 三菱商事(2022.3) | |
---|---|---|
売上高 | 2兆6567億円 | 17兆2648億円 |
税引前利益 | 2兆1064億円 | 1兆2931億円 |
従業員数 | 3,082人 | 80,728人 |
従業員1人当たり利益 | 6億8,346万円 | 1,602万円 |
従業員平均給与 | ??? | 1,558万円 |
三菱商事の売上、利益の規模すごいな。
しかし、バイオエヌテックの1人当たり利益が異常すぎて言葉も出ません。6億8346万円だと。
桁間違ってないよね。。
三菱商事の42倍?
平均給料1億円払っても全然大丈夫じゃないか。
ちなみに後述するモデルナはビオンテックよりもさらに利益が大きく、従業員が少ないので、もっと高い給料を払う余力があります。
ウ 社内カルチャー
ビオンテックは、儲かっているだけでなく、従業員構成には多様性があって人間味のある会社のようです。
新型コロナワクチンの設計を自ら行ったウグル・シャヒンCEOと技術責任者のオズレム・トゥレシ博士の夫妻は、「共にトルコ移民2世で、苦学しながら科学者の道を歩んだ実直な人柄」なんだとか。
バイオンテックの研究開発チームの従業員の国籍は60か国以上で、半数が女性です。
エ 将来性
バイオ製薬は当たり外れが大きく、売上が高騰したと思えば急落することもあります。
すべては売れる薬を作れるかにかかっています。
その点、ビオンテックはすごい。
短期間で新型コロナワクチンを開発した技術力は世界に証明済みです。
強力な開発体制を持っているのです。
ノーベル賞候補とささやかれるカタリン・カリコ博士が13年から上級副社長を務めており、mRNA技術のドリームチームといってよい陣容だ。
週刊エコノミスト2022.11.8
そんな高い技術力を見込まれてか、バイオンテックは、ロシュ、イーライ・リリー、ファイザー、サノフィ、ジェンマブなど大手製薬会社と提携しています。
高い技術力のビオンテックの力が、高い供給能力を持つ大手製薬会社によって引き立てられるわけです。
mRNAを用いた医薬開発技術はがん抑制などワクチン以外のさまざまな分野に応用が可能とされ、mRNAの中核技術とファイザーをパートナーに持つビオンテックは今後も本命視できる。
週刊エコノミスト2022.11.8
mRNA分野でビオンテックが有望なことは後述します。バイオエヌテックは将来も期待できる。
これ書いてるだけで転職したくなってくる企業です。
残念ながら日本にはバイオンテックの拠点はありません。
しかし、いつかビオンテックも日本に拠点を開設するかもしれません。
その場合、ビオンテックは水面下で転職エージェントを使って採用活動をするに違いありません。
その採用活動の際に、あなたにも転職エージェントから声がかかるかもしれません。
その時に「なんと!あのビオンテックだ!」と思えれば、バイオンテック入社を巡る競争でライバルに差を付けられます。ほとんどの人はバイオンテックを知らないからです。
超儲かっている世界的企業が、給料の安い日本で採用活動をする。
日本の安い給料相場をわからずに、ワールドクラスの給料を提示されるかもしれません。
日本人が少ない外資系企業に入社する場合、高額な世界基準の給料が狙える可能性があります。シンガポールにいる幹部とかは、日本の給料相場なんかわからないので、足元見ずに高い給料を設定することは十分にありえます。
(2) バイオジェン(Biogen)
バイオジェンは、主に神経疾患、免疫疾患及び血友病の薬を開発製造する会社です。
バイオジェンの大注目薬は、日本のエーザイと提携しているアルツハイマー型認知症治療薬です。
2021年に「アデュカマヌブ」が来るか、と期待されて株価が急騰しましたが、結局世に出ることはありませんでした。
しかしその後エーザイとの共同開発の新たな新薬「レカネマブ」で再び大注目を集めています。
もしかしたらとんでもない売上を記録するかもしれません。
財務状況
バイオジェンの財務状況を見てみましょう。
2021年12月期は、大きく減収・減益しています。
2020年以前は猛烈に高い利益率でしたが、2021年12月期は依然としてかなり高いものの猛烈とまでは言えなくなっています。
マネックス証券では「セグメント業績」として、製品ごとの売上高がチェックできて便利です。
- Fumarateは、重度の尋常性乾癬の治療薬。
- Tysabri(タイサブリ)は、多発性硬化症(MS)の治療薬。
- SPINRAZA(スピンラザ)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬。
バイオジェンは、複数の医薬品の売上があるので、新型コロナワクチンの一発屋になる可能性のあるバイオエヌテックやモデルナとは違って安定性があると言えるかもしれません。
(3) モデルナ(Moderna)
新型コロナワクチンのおかげで日本人の誰もが知ることになったモデルナも有望バイオ医薬品会社の1つです。
モデルナは、東京に拠点があり、求人情報も出ています。
mRNA技術を用いたワクチン開発では、ファイザーワクチンを開発したビオンテックと並び立つ存在です。
mRNA医薬品は、様々な病気に対処する可能性のある治療的または予防的利益をもたらす細胞内、膜、または分泌タンパク質を生成するように体の細胞に指示するように設計される医薬品です。モデルナは、予防ワクチンだけでなく、がんワクチン、腫瘍内免疫療法、局所再生治療法、全身細胞内治療法などのmRNA医薬品のパイプラインを保有しています。
mRNA技術を用いたがんワクチンについては以下のとおり日経新聞で書かれています。
モデルナは米製薬大手メルクと組み新薬を開発中で、最短で2025年の実用化を目指し、23年中に最終治験を始める計画だ。患者一人ひとりのがん細胞の特徴に合わせて薬剤をつくる「個別化がんワクチン」の開発を目指す。
「mRNA、次はがん治療に モデルナ、患者別の薬開発 ビオンテックは東アジアで治験」(2023/02/11 日本経済新聞 朝刊)
中間段階にあたる第2相治験は、がんが進んだステージ3、4の悪性黒色腫(メラノーマ)で、手術を受けた患者約150人に実施した。メルクの既存薬「キイトルーダ」とがんワクチンを併用した患者は、既存薬だけを投与した患者と比べて再発または死亡リスクが44%下がった。
モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は「期待を上回る結果」と語る。中間治験の結果を踏まえ、対象となるがんの種類を増やして治験を実施する考えだ。日本での治験も検討している。
モデルナは、新型コロナ感染症のワクチン開発前は、特に何も売っていない会社でした。そんな会社が高度なmRNA技術を用いて短期間でワクチンを作り上げ、巨額の利益をあげました。信じられないようなサクセスストーリーです。
そんな成功によって資金と自信を得たモデルナは、がんワクチン開発にいそしんでいます。
モデルナは10年以上前からがん治療薬の開発を目指してきた。バンセルCEOは「コロナウイルスの流行でmRNAワクチンの実用化が5年ほど早まった」と話す。
同上
財務状況
新型コロナワクチンで儲けまくったはずのモデルナの財務状況はどうでしょうか。
2022年12月期になって急に激しい売上と利益を上げるに至っています。ワクチン効果。
売上の大きさもさることながら、利益率の高さもやはり尋常ではありません。
ビオンテックとモデルナも、新型コロナワクチンで信じられないくらいの利益を上げていることがわかります。
ただ、バイオジェンと違って、現状では新型コロナワクチンしか売上を上げる武器がないので、将来は売れる薬を開発できるかにかかっています。
(4) リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)
Regeneron Pharmaceuticals: Delivering Life-transforming Medicines
リジェネロンは、これといった会社ロゴはありません。
ウェブサイトもあんまかっこよくないですし、余計なコストはかけない倹約主義の会社なのだろうか。
ア リジェネロンの主力薬
リジェネロンの主な売上は、以下2つの医薬品によるものです。
- REGN-COV2:新型コロナ感染症用の抗体カクテル治療薬
- アイリーア(EYLEA):加齢黄斑変性治療薬
これら2つにはこれからあまり頼れません。
REGN-COV2は、新型コロナが収まれば用済みになってしまい、売上が激減する可能性があります。
EYLEAは、2023年中にアメリカでの特許が切れてしまいます。
そんな事情を考慮しながら財務状況をチェックしてみましょう。
イ リジェネロンの財務状況
アメリカ企業ですが、ドイツ企業のバイオンテックと同じくらいの株主資本比率を持っています。
2021年12月期は、売上が倍増しています。新型コロナ感染症の抗体カクテル治療薬の売上のおかげでしょう。
今後は、新型コロナ感染症のバブルははじけ、これまで大きく稼いできたEYLEAの米国特許も切れる。
リジェネロンは、今後の開発力が問われる局面にあります。
直近2四半期連続で仏サノフィと共同開発のアトピー性炎症治療薬が好調に推移し、独バイエルを加えた共同開発部門の収益が3~4割を担う収益源に成長している点に注目したい
週刊エコノミスト2022.11.8
ウ リジェネロンに対する評価
著名投資家がリジェネロンと後述のバーテックスに期待しているというコメントをしています。
バイオ医薬品分野では、大きく成長してM&Aをしっかり行える ようなバランスシートを持ち、研究開発投資ができる企業が存在します。例えば、米リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN) 、米バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)は嚢胞性線維症(呼吸器や消化器に重度の感染症や機能不全を引き起こす遺伝性疾患)は自己炎症症候群向けの医薬品を造っています。政府が医療費をどの程度カバーできるかの問題はありますが、画期的な薬品を出したということで期待しています。
元祖テンバガーハンター ピーター ・ リンチの後継者に聞く 市場に先駆けた大化け株の発掘法と狙い目銘柄米フィデリティ ・ インベスメンツ ポートフォリオ ・ マネージャー William Danoff「日経マネー」2024年4月号
このインタビュー記事でコメントをしている著名投資家とは、フィデリティのウィル・ダノフです。
ウィリアム・”ビル”・ダノフは、フィデリティ・インベストメンツの伝説的なファンド・マネージャーでした。1967年の設定から2008年の退職まで、高く評価されているコントラファンドを運用していました。
ダノフは1970年にハーバード・ビジネス・スクールを卒業後、すぐにフィデリティに採用され、熟練した株選びですぐにその名を知られるようになりました。コントラファンドはフィデリティで最大かつ最も成功したアクティブ運用ファンドの一つとなりました。
フィデリティでのキャリアを通じて、ダノフはコントラファンドの投資家に膨大なリターンをもたらしました。彼はフィデリティの歴史上、最も才能豊かで成功したファンド・マネージャーの一人としての評価を確立しました。
(5) バーテックス・ファーマシューティカルズ (Vertex Pharmaceuticals)
希少疾病である嚢胞性(のうほうせい)線維症の治療薬の開発に注力するバイオ創薬企業です。
嚢胞性線維症は、全身の分泌液が粘化する劣性遺伝性疾患で、比較的欧米に症例が多い難病です。
ア バーテックスの医薬品ごとの売上高
マネックス証券の米国株銘柄スカウターでは、バーテックスの商品ごとの売上がチェックできます。
- TRIKAFTA / KAFTRIO
- ORKAMBI
- KALYDECO
- SYMDEKO / SYMKEVI
バーテックスの売上は上位4つの薬品で占められています。
この4つの薬はいずれも嚢胞性線維症の薬です。
嚢胞性線維症向け以外には、「鎌状赤血球症、ベータサラセミア、APOL1媒介性腎疾患、1型糖尿病、痛み、アルファ1抗トリプシン欠乏症、筋ジストロフィーなど、原因となる人間の生物学への洞察を活用する他の深刻な疾患の治験治療のパイプラインを持つ」とされています(楽天証券ウェブサイトより)。
イ バーテックスの財務状況
バーテックスの財務状況を見てみましょう。
売上は順調に伸びています。
利益率が2021年12月期に下がっていますが、それでも依然として相当高い利益率を誇っています。
純利益率で30%というのはメーカーとかでは考えられない高い利益率です。
バーテックスもアメリカ企業なのに自己資本比率が70%超で高いです。
ニッチな希少疾病バイオ役で手堅く稼ぐ安定ビジネスの側面もあるかもしれません。
稀少疾患だと患者が少ないので、ライバルがあまり入ってきませんし、バイオ薬は作るのも難しい。
(6) ギリアド・サイエンシズ (Gilead Sciences)
ギリアド・サイエンシズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)を中心に、有効な治療法が確立されていない生命を脅かす感染症治療のための新薬を開発し製品化を行う「世界第2位のバイオ製薬大手」(週刊エコノミスト2022.11.8)です。
ギリアド・サイエンシズが世界第2位。
バイオ製薬世界第1位はどこなのか気になります。ビオンテックとモデルナは、ギリアド・サイエンシズより売上が大きいですが、新型コロナワクチンによるものがほとんどですので、リジェネロンが1位なのだろうか。
インフルエンザの「タミフル」は実はギリアドの薬です。
ア ギリアドの売上構成
世界第2位のバイオ製薬会社のギリアドの売上構成をマネックス証券のサイトでチェック。
すごいたくさんある。さすが世界第2位。
しかし、上の図を冷静に計算してみると、上位3製品で60%超の売上を締めています。
バイオ製薬会社の大手は、少数の超大ヒット薬の大半を稼いでいるのが普通と評価できそうです。
売上1位のBiltarvyを含めた以下の薬は、HIV/AIDSの薬です。
- Biktarvy
- Genvoya
- Descovy
- Odefsey
- Truvada
- Complera・Eviplera
- Stribild
- Atripla
HIV治療は製薬会社にはビッグビジネスのようです。
治らない、というのが製薬会社には都合がいいんですね。
イ ギリアドの財務状況
ギリアド・サイエンシズの財務状況はどうでしょうか。
売上の成長は順調ではありますが他のバイオ製薬会社より鈍く見えます。
利益率もとても高いですが、これも他のバイオ製薬会社より抑え目です。
バイオ製薬会社も大きくなると安定はするけれども成長力・利益率は落ちるということでしょうか。
貸借対照表を見ると、他社よりも現金同等物が少ないですね。
大きな買収でもしたのでしょうか。
*選外となったバイオファーマ
上記6選は、週刊エコノミストの特集からさらに厳選した会社です。
上記雑誌で取り上げられたバイオファーマのうち、選外にした会社と理由は以下のとおりです。
ブリストル・マイヤーズスクイブ | 大手製薬企業であり、バイオ医薬品以外にも多数の製品を保有しており、純粋なバイオファーマではないため、選外にしました。ブリストルの求人は見たことがありますが、給料は「何て高いんだ!」というほど高くはなかったと記憶しています。 |
シージェン(Seagen) | 癌を治療するための標的療法を開発と商品化するバイオテクノロジー企業です。赤字続きの会社であり、「経営陣は最終的に会社の売却を視野に入れている可能性がある」(週刊エコノミスト2022.11.8)とされていることから、転職したくなるようなバイオファーマではないため選外にしました。 |
2023年3月13日、ファイザーがシージェンを買収すると発表しました。週刊エコノミストの指摘は正しかった。
ファイザーのシージェン買収額は、なんと約430億ドル(約5兆7000億円)。
シージェンは、「がん治療の次世代薬開発で先行する米新興企業」です(日本経済新聞2023年3月15日)。
新興企業で5兆円です。やはり有望バイオファーマはすごいなあと思いました。
3 バイオ医薬品とは
バイオ医薬品とは、有効成分がタンパク質由来(成長ホルモン、インスリン、抗体など)、生物由来の物質(細胞、ウイルス、バクテリアなど)により産生される医薬品です(bio_01.pdf (jpma.or.jp))。
バイオ医薬品はほとんどが注射
口から飲むとたんぱく質は酵素で分解されてしまうため、飲み薬を作るのは難しく、バイオ医薬品のほとんどは注射剤です。
バイオ医薬品は作るのが難しい
バイオ医薬品の製造には遺伝子組み換えや細胞培養の技術が使われます。
バイオ薬の製造には、バイオ薬が非常に複雑な構造のたんぱく質からできていることから、低分子薬(従来の一般医薬品)よりも複雑で高度な技術が必要とされます。
低分子医薬品であれば短くて数日で原薬が作られることもあるのに比べ、バイオ医薬品は作るのに時間がかかります。
バイオ薬は生きた細胞を扱うため、原薬生産だけで数カ月かかる場合もある。無菌状態や温度など品質管理も厳しい。製造工程での管理試験は低分子薬は約50種類だが、バイオ薬は5倍の約250種類に及ぶとされる。手作業も多く作業習得に時間がかかる。
日本経済新聞2022年12月19日朝刊「バイオ薬の技術者育成急ぐ 協和キリン、訓練施設を新設 第一三共は3割増」
バイオ医薬品のメリット
作るのが難しくて時間もかかるバイオ医薬品はなぜ作られるのか?
効果が高いからです。
免疫力の低下や、体の機能の異常など、病気の原因にピンポイントで働きかけて治療するのが大きな特徴で、特定のがん細胞を直接攻撃するなど、従来にはない治療を難病にも施せます。
しかも副作用も比較的少ないとされます。
製薬会社が、バイオ医薬品に目を付けるのは、こうした効果があることはもちろんですが、高い薬価が下がりにくいということもあるようです。
また、作るのが難しいため、一度作ってしまえば競合がなかなか同種の薬を作ってこず、しばらく高い薬価での販売独占も狙える。
注目のmRNA
mRNAとは、messenger RNAの略で、RNA(リボ核酸)の一種であり、遺伝情報を細胞核のDNAから細胞質内のリボソームへ伝える役割を担っています。
遺伝子の発現過程では、DNAを鋳型として転写というプロセスを経てmRNAが作られ、リボソームによってアミノ酸配列に翻訳され、体内でさまざまな機能を果たすタンパク質となります。
mRNAは一本鎖の分子で、比較的寿命が短く、細胞内で絶えず回転しています。遺伝子発現の調節に不可欠であり、発生、成長、免疫反応など多くの生物学的プロセスにおいて重要な役割を担っています。近年のmRNA技術の進歩により、mRNAワクチンが開発されたことは前述のとおりです。
今注目されているのは、mRNAを使ったがん治療薬です。
各社が開発するのは、がんの目印となるたんぱく質「抗原」の断片を生成するmRNAだ。mRNAを人の体内に入れると免疫機能が抗原を覚え、がんを攻撃するようになる。この反応を通じて治療する。
「mRNA、次はがん治療に モデルナ、患者別の薬開発 ビオンテックは東アジアで治験」(2023/02/11 日本経済新聞 朝刊)
mRNAがん治療薬は何が良いのでしょうか。
それは、患者にあった薬を投与でき、既存の治療よりも高い効果が期待できることです。
mRNAは患者ごとに異なるがん細胞の特徴に合わせた薬が投与できる。従来治療で効果が得られなかった患者への効果が期待されている。
同上
バイオ薬として副作用が少なめにもなってほしいですね。
しかしmRNAがん治療薬も万能ではありません。以下のような欠点が指摘されています。
- どの程度有効かまだわからない
- がんの末期ではあまり有効性でない可能性
まだよくわからん、ということです。
mRNAは患者ごとに異なるがん細胞の特徴に合わせた薬が投与できる。従来治療で効果が得られなかった患者への効果が期待されている。ただ新しい技術だけに有効性や安全性でわかっていないことも多い。バイオ技術に詳しいみずほ証券の都築伸弥シニアアナリストは「がんの末期では免疫反応が十分に得られない可能性もある」と指摘する。
同上
mRNA技術によるがん治療薬でもリードするのは、mRNAの二大巨頭であるビオンテックとモデルナです。
モデルナが開発中であることはすでに述べました。
ビオンテックも、頭頸部がんを対象とした治験を台湾で行う。治験は台湾のほかに日本や韓国、シンガポールなどでも実施を検討する。昨年11月には、スイスの製薬大手ノバルティスからシンガポールの製造拠点を買収すると発表。mRNAワクチンなどの製造拠点をシンガポールに整備し、アジア地域での供給拡大につなげる。
「mRNA、次はがん治療に モデルナ、患者別の薬開発 ビオンテックは東アジアで治験」(2023/02/11 日本経済新聞 朝刊)
ビオンテックはがん領域でmRNA薬以外にも約20の治験に取り組む。1月には英国政府とがん治療のためのmRNA薬開発で合意。30年末までに最大1万人の患者にがん治療薬などを提供する目標を掲げる。
新型コロナワクチンで儲けた巨額の資金でmRNAの新薬開発に邁進しているわけです。
いつまでもコロナワクチンに頼れないですからね。
mRNAワクチンの主力は当面、新型コロナ向けが占めるものの、コロナ感染が落ち着くと需要減が見込まれる。mRNAワクチンメーカーにとってはコロナ向けに続く、新たな用途開発が必要となっている。
同上
4 バイオ製薬会社は買収されがち
有力バイオ薬会社は、メガファーマに巨額買収されがちです。
前記のとおり、2023年3月、ファイザーがバイオ薬会社のシージェンを約430億ドル(約5兆7000億円)で買収しています。
その後、1か月後、また巨額買収が発表されました。
メガファーマの1つであるメルクが、アメリカのプロメテウス・バイオサイエンシズを買収したのです。買収額はこれまた巨額の108億ドル(1兆4400億円)。
メガファーマはお金たくさん出せますねえ。
米製薬大手メルクは16日、炎症性腸疾患の治療薬を開発している米バイオ企業プロメテウス・バイオサイエンシズを完全子会社化すると発表した。買収総額は108億ドル(約1兆4400億円)。炎症性腸疾患は患者数の増加により、治療薬の市場規模拡大が予想されている。プロメテウスの持つ有望な治療薬候補を入手し、同分野での存在感を強めることを狙う。
日本経済新聞2023年4月17日夕刊「メルク、バイオ企業1.4兆円で買収」
買収が起きるとどうなるか。
買収された会社の日本企業で働いている期間中に、その会社が買収されたとしましょう。
買収する側のメガファーマからしてみれば、残ってほしい従業員は少数なはずです。
人事とか法務とか管理部門は本体にいるから不要。そして、メガファーマよりも高い給料の管理部門従業員なんかいたら追い出したくて仕方ない。
買収後の統合活動(PMI; Post Merger Integration)の一環として人員整理が行われることになる。
外資はクビを切りたがるが、そんなに簡単に有効な解雇ができるわけではありません。
有効に解雇ができないと考える会社は、辞めてほしい従業員に上乗せ退職金を提示して辞めるよう促します。
高給な従業員であれば、たくさんの上乗せを提示されることになります。
5 リジェネロンの求人・採用情報を持つ転職エージェント
リジェネロン・ファーマシューティカルズが日本法人を開設するために採用活動をしているらしく、本記事にも想定外の数の読者が訪問してきています。
調べたところ、以下2つの転職エージェントはリジェネロンの求人を扱っている可能性があります。
JACリクルートメントについての正確性は不明ですが、LikedInで”Regeneron”と打ち込んで求人したところ、ランスタッドが取り扱う以下の求人情報が出てきました。
Associate Director, Commercialization
【職種 / type of occupation】営業(MR、MS、医療機器)、営業推進
【給与 / salary】年収 1,400 〜 1,800万円
【賞与】4,000,000
どの会社とは書いてません。当然ランスタッド自身の求人情報ではありません。
“Launch experience a plus”と書いてあるので、リジェネロンの立ち上げスタッフ募集なのかもしれません。
有力バイオファーマのリジェネロンの求人情報を得たい人でまだ登録していない人は2つに登録するのがおすすめです。
登録しても無料です。登録していないとビズリーチやLinkedIndで声がかかるのを待つしかありません。
6 バイオファーマを含む外資系製薬会社の求人に強い転職エージェント5選+1
外資系バイオ製薬会社の求人情報を持っている転職エージェント。
本項目はプロモーションとなる内容を含みます。
(1) JACリクルートメント
JAC RecruitmentJACリクルートメントは、前記のロバート・ウォルターズとRGFエグゼクティブサーチジャパンと違い、日系です。
外資系に強そうで、「JAC」とアルファベットが入っているので外資系企業かと思いきや完全な日系企業です。田崎さんが創業者・大株主。
「リクルートメント」と名前に入っていますが、人材大手のリクルートとは関係ありません。
JACリクルートメントもヘルスケア業界強めです。
「英語無理っす。。」とか「外資もいいけど日系もいいなあ」という、バリバリ外資にやや抵抗感がある方にはJACリクルートメントもおすすめです。
JACリクルートメントのポイント
- ヘルスケア業界の求人に強み
- 高額案件が多い
- 内定獲得力が高い
▼公式サイト
相談体験談等は以下記事をお読みください。
JACリクルートメントの評判を知りたい人向けの転職体験談 | 転職キャリアルール (career-rule.com)
JACリクルートメントはハイクラス転職におすすめのエージェント | 転職キャリアルール (career-rule.com)
その他の転職エージェント情報はこちらの過去記事をお読みください。
(2) ランスタッド
ランスタッドランスタッドは、30~40代、年収800万円以上のエグゼクティブや管理職層といったハイポジション狙いのエージェントです。
また、製薬業界の転職にも強く、バイオファーマの高額年収ハイポジションを狙うによい転職エージェントです。
ランスタッドのポイント
- 世界最大級の転職エージェントで外資・国内優良企業の豊富な求人情報
- 医療・医薬、製造、テクノロジー、消費財、管理部門の転職に強い
- ハイクラス、高額案件
\ 公式サイトはこちら /
(3) ロバートウォルターズ
ロバート・ウォルターズロバート・ウォルターズからは、前記6社のうちの1社の求人情報を紹介してもらったことがあります。
その時、私はバイオ製薬会社の給料がいいなんてちっとも知りませんでした。
したがって、応募しませんでした。
ロバート・ウォルターズのエージェントから「なぜ応募しないのか?」と理由を聞かれて、返した私の回答は、「バイオ製薬ってなんか怪しいから」。
知ってたら応募してたのに!
そんな後悔ももとにして本記事は書かれています。
ロバート・ウォルターズのポイント
- 外資系企業や日系グローバル企業の求人に強み
- 外資系製薬企業の案件も多め
- 高額年収案件が多い
(4) RGFエグゼクティブサーチジャパン
RGFエグゼクティブサーチジャパンを勧めるのは、この会社のエージェントが「外資バイオ製薬会社の給料は異常に高いぞ」と教えてくれたからです。
求人情報を扱っていなければそんな内部情報を知りません。
RGFの扱う求人情報は給料高めです。
東京と大阪に事務所を擁するバイリンガル人材向けリクルートメントファーム | RGFエグゼクティブ サーチ ジャパン (rgf-executive.jp)
(5) apex(エイペックス)
エイペックス株式会社(Apex K.K.)は、中間管理職~経営トップレベルのバイリンガル人材・グローバル人材を外資系企業や日系グローバル企業へ紹介する、東京・恵比寿の人材紹介会社です。ハイクラス人材の方々を主に東京を拠点とする国内の企業へご紹介しており、大手有名グローバル企業はもちろん、中小企業や日本初進出のスタートアップ企業ともお取引をさせていただいております。
エイペックスについて | Apex(エイペックス) (apexkk.com)
エイペックスから応募したことはないのですが、外資製薬の求人情報は確かに多い。
バイオ薬会社の求人情報を持ってきたこともあります。
前記6社の求人情報もある。
エイペックスはもともとヘルスケアの人材紹介専門のエージェントだったこともあり、強みを持っています。
エイペックスの過去の広告で「バイリンガル人材向けエージェント」との紹介がありましたが、エイペックスを利用するにあたってバイリンガルである必要はありません。
エイペックスのあまり良くないところは、電話中心であることです。
電話の方が良い人もいるかもしれません。私はメール中心の方がよいので、ここはややエイペックスと合いません。
また、エイペックスの人と話していたら「企業担当者からは、この会社は給料がとても高いと言っています」というようなことを言っていました。
エイペックスは、求職者担当と企業担当を分担させる大手人材会社スタイルを取っているようです。
私はこのスタイルのエージェントを通して応募するのはできるだけ避けたいと考えています。求職者担当と企業担当は同じ人であってほしいです。「求職者はこんな人なんです企業様!」と企業にアピールしてほしいからです。
エイペックスのいいところは、給料高めの求人情報が多いところです。製薬も多い。バイオもある。
また、外国人エージェントもいますが、日本人エージェントもいます。日本人エージェントと日本語で相談して外資系企業に応募することができます。
外資系企業に応募しようとするとエージェントが外国人で英語しかダメというところがけっこうあるので、相談は日本語でしたいという人にはエイペックスはおすすめです。
業界特化型求人・転職エージェント | Apex(エイペックス) (apexkk.com)
(6) ビズリーチ | 実は1番おすすめか
ビズリーチエグゼクティブ転職バイオ薬会社への転職を狙うなら、転職エージェントではないですがビズリーチが一番良い可能性があります。
バイオ薬会社の求人は少ないです。給料が特別高い会社の求人情報はとりわけ少ない。
複数の転職エージェントに登録してもバイオ薬会社の求人情報は得られないかもしれません。
ビズリーチならば、多数の転職エージェントが登録していて声がかかって多くの求人情報を見ることができます。
多数の求人情報を得られればその中に高給バイオ薬会社の求人情報が含まれる可能性も上がるというわけです。
転職エージェントから「私は製薬業界を得意としております」とアピールされたりもします。
ビズリーチのポイント
- 登録は無料
- 製薬業界を得意とする転職エージェントからも声がかかって効率的
- 高額案件を見つけやすい
▼公式サイトはこちら
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