今の仕事を続けた方がいいのか、転職した方がいいのか。
どんな仕事をすれば自分にはいいのだろうか。
こんな悩みを持つ社会人におすすめの本を3冊紹介します。
ハーミニア・イバーラ『 ハーバード流 キャリア・チェンジ術』(翔泳社、2003年5月)
ビル・バーネット=デイヴ・エヴァンス『 スタンフォード式 人生デザイン講座 (ハヤカワ文庫NF) 』(早川書房、2019年10月)
デイビッド・エプスタイン『 RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』(日経BP、2020年3月)
本記事で紹介する本は、自分のキャリアの幅を広げ、それが仕事選びに役立つことを教えてくれる本です。
「これさえやれば大丈夫!」という短絡的でストレートな解決法を提示するものではありませんが、「仕事、キャリア。どうすればいいのか」と長く悩んでいる人には思慮深い示唆を与えるものでちょうどよいと思います。
1 ハーミニア・イバーラ『ハーバード流 キャリア・チェンジ術』(翔泳社、2003年5月)
この本は、「まず本当の自分を知って、自分が何をやりたいか、何が好きか、何をすればいいかを決めてからそれに沿って、転職等の行動を起こすべきだ」というありがちなアプローチを否定しています。
内的な本当の自分は存在しない。
計画してから実行するのはキャリア形成には有効ではないと説きます。
そうではなく、行うべきことはまず実際に試すこと、行動に移すことだと述べています。
それがよいキャリアを築くのにおすすめであると。
まず実行が大事であると本書は説いていますが、そそっかしい判断で大きなキャリアチェンジをすぐにしろとは勧められていません。
実行といっても小さく試すことを強く勧めています。
「直感で決める!」といって、軽率に大きな変化を生じさせることはあまりいいやり方ではありません。
本書の筆者は、しっかりした計画をまず立てて動くという考えには否定的ですが、悩まずにとりあえず実行せよとは言っていません。
「今の仕事には不満がある。とはいえ、何をしたらいいかわからない」という多くのキャリア迷子が抱える苦痛に対する理解もあります。
変化を望んでいるのに明確な目標が見つからない人にとって、いま歩いている道に代わるものを見つけるまでが一番つらい時期だ。
ハーミニア・イバーラ『ハーバード流 キャリア・チェンジ術』(翔泳社、2003年5月)
「転職した方がいいと思ってるんだけど、どんな仕事や職場にしたらいいのか・・」と悩む人には上記の言葉は的を得ていると感じられるはずです。
本書の読者としておすすめされているのは以下のような人です。
- 変わりたいと切望しながら身動きのとれない人
- すべてを捨ててまったく別の世界に飛びこむ人を詳しく知りたいと思う人
- 時間や気力や知識を仕事に長年費やしたあと、職業人生半ばで方向性に疑問をもった人
- 社会に出たあと30代で学校に戻った人
- 50歳で初めて自由な境遇を経験し、今後15年は別の働き方をしたいと考えている人も含まれる。
- 年齢にかかわらず何かを築いてきた経験をもち、つぎの仕事では気持ちのうえでも経済的にも成功を収めたいと思う人
逆に、「仕事を始めたばかりの人や、情熱を注いできたキャリアを捨て楽な道を歩みたい人にはおすすめできない」と筆者は述べています。
本書は、39人のキャリアの具体例が出てきます。
「外国人のキャリア事例ばかりたくさん紹介されても・・」と読む前には思いましたが、具体例だけでなくきちんと一般的なわかりやすい説明があります。
39人の具体例は、そのままストーリーとして前面で紹介されているわけではなく、あくまで具体例として紹介されているので読んでいて安心しました。
具体例中で非営利団体で働くとか、日本ではあまりないシチュエーションも多くみられるのが残念な点ですが、具体例はあくまで具体例であり、筆者の主張部分は日本でも応用可能です。
2003年出版の古い本ですが、内容は現在でも通用する内容です。
特に古さは感じられません。
キャリアについての考えは時代を経てもそうは変わらないでしょう。
2003年ならスマホは普及してないですが、みんな携帯電話を持ってましたし、インターネットも相当に普及していました。
キャリアチェンジについて悩んでいてしっかりしたアドバイスやヒントがほしい人におすすめの1冊です。
この本にならうキャリアチェンジ成功のための重要なステップは実行すること、まず試すことです。
興味を持ったらすぐに読みましょう。
kindleなら2178円で、古本なら今なら420円からあります。
2 ビル・バーネット=デイヴ・エヴァンス スタンフォード式 ライフデザイン
LIFE DESIGN(ライフデザイン)――スタンフォード式 最高の人生設計
前記1がハーバード流で、こっちはスタンフォード式。
原題には大学名は書いてないので書かなくてもいいのにとは思いますが、どちらもいい本です。
ここで紹介する2冊は内容がほぼ同じです。小さい文庫かそうでないか。
この本は、自分のキャリア・人生をデザインするという考えで書かれた本です。
仕事だけでなく自分を包括的に見る視点が含まれています。
ただ座って考えるだけでなく、行動することの大事さも説いているのは前記1と同じです。
この『スタンフォード式』の方が、より詳細な実践プランを紹介しています。
自分の記録や考えを記入するワークシートも用意されています。
職務経歴書(英文レジュメ)の作成方法も紹介されていたり、何気に細かい点も書かれていて興味深い。
前記1『ハーバード流』と並列に勧めたのは、多くの人に話しを聞こう、といった具体的に動くことを奨励している点が共通しているからです。
3 デイビッド・エプスタイン『RANGE<レンジ> 知識の「幅」が最強の武器になる』(日経BP、2020年3月)
この本は、キャリアそのものの本ではありません。
ではなぜキャリア迷子向けに勧めたのか?
前記1と2で勧めた書籍に合った考えが示されているからです。
本書は、専門バカとならず、多様な経験な積んで自分に「幅」を持たせることの重要性を説いています。
「自分はこれをしなければならない」「間違ったことはできない」と臆病になって行動に移せない人は、前記1や2の本で示されたような具体的な実行の推奨を知りつつ、試してみる、全く無関係そうなことでも経験を得るのは有益なことであると本書で励まされると思います。
別記事であるビル・ゲイツの読書法【必見】天才の本の読み方で紹介したように、ビル・ゲイツは本書を2020年12月に読むべき1冊として勧めています。
専門性を持っている同僚のせいで自分の影が薄いと感じたことがあるジェネラリストの方には、この本をお勧めします。
ービル・ゲイツ
自分に関係のないことでも、将来あまり役に立ちそうに見えなくても、とりあえずやってみる。
その経験は損にはならない。
やがて多様な経験の1つとして自分の強みになり、自分の将来の可能性を広げてくれる。
そんな期待の裏付けとなってくれる本です。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] そんな人には、キャリア迷子の悩み解決に役立つ本3選をおすすめします。 […]
[…] 小さく色々試してみるキャリア形成の手段については、別記事キャリア迷子の悩み解決に役立つ本3選がお勧め参考書籍です。 […]