運動は社会人の良い仕事良いキャリアに役立つ?

社会人 運動
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社会人が運動をすることは、良い仕事をするのに役立ちます。

転職にも役立つ。

目次

社会人は何のために運動をするべきなのか

運動はいい。

健康にいい。

これはほとんどの人にとっての共通理解のはずです。

しかし、健康に良いからというだけで運動をする気にもなかなかならない。

社会人が良いキャリアを築くうえで目的とすべき健康を「健康寿命を伸ばす」と少しだけ具体化します。

単に長寿になるだけだと、寝たきりで20年間医療機器によって生き永らえるのも含んでしまいます。

健康でいられる期間を伸ばしたい。

「寿命」というと、今働いている世代には遠いことのように思えます。

しかし、「健康寿命を伸ばす」ということは、以下を実現できることを意味します。

  • 老化を遅らせて若い期間を保つ(アンチエイジング)
  • 同年代と比較して実年齢よりも若い身体を維持する
  • 病気になりにくくなる
  • 疲れにくく活動的になる
  • 見た目も若くなる(若さを保つ)

これらができたらいいでしょう。

健康寿命についての知識は、自分だけでなく家族の健康のためにも役立ちます。

運動と健康寿命の関係を知って、自分と身近な人の健康寿命延長のために役立てましょう。

(1) 健康長寿(アンチエイジング、ライフスパン・ヘルススパンを伸ばす)

運動が健康寿命に及ぼす効果とは。

老化を防ぐのにいちばん良い方法は、間違いなく運動である。これは男性でも女性でも、また人生のどの時期でも効き目がある。運動は心臓血管の健康に良いだけでなく、体重を抑え、2型糖尿病のリスクを下げる。さらに脳卒中、認知症、がんさえ予防する可能性がある。

ニール・バルジライ『Super Agers スーパーエイジャー 老化は治療できる』(CCCメディアハウス、2021年6月)229ページ

1日に運動する時間が1分増えるごとに、あるいは動いていない時間が1分減るごとに、死亡リスクが減少することが研究で示されている

アンドリュー・スティール『AGELESS』(ニューズピックス、2022年11月)325ページ

イ 認知機能の向上

運動は高齢者の認知機能、特に実行機能*の向上と維持に重要な役割を果たすことが示されています。

*大まかに言って実行機能とは、なんらかのタスクの実行をあなたに許可し、粛々とそれを実行させる機能である。

ジョン・メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社、2020年3月)244ページ

活発な高齢者は座りがちな高齢者と比べて認知機能が優れており、特に有酸素運動が実行機能に良い影響を与えます。

定期的に運動する高齢者は実行機能のスコアが顕著に高い。

さらに、短期間の運動でも実行機能は向上します。中年期の運動習慣は25年後の認知機能維持にも寄与するなど、長期的な効果も示されています。これらの研究結果から、運動は高齢者の認知機能向上に極めて効果的です。

「運動は高齢者の認知機能を向上させる」という主張は、査読のジムで鍛えられ、その力を強めた。ハーバード大学のフランク・ヒューなどの研究者らが「効果がきわめて強く、広範に及び、ゆえに老化を防ぐ特効薬と呼べる唯一のものは、運動だ」と言ったのも不思議ではない。

ジョン・メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社、2020年3月)252-253ページ
運動が万能とまでは言えないことに注意

①全ての実行機能を向上させられるわけではない

実行機能のすべてが運動の影響を受けるわけではない。たとえば集中力は、運動によって高まるわけではなさそうだ。

ジョン・メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社、2020年3月)253ページ

②有酸素運動以外の運動はワーキングメモリを向上させない

ワーキングメモリへの効果は、ある場合とない場合が混在している。ある研究は、有酸素運動はワーキングメモリを向上させるが、他の運動は効果がないことを示した。査読をした権威たちは、さらなる研究が求められると結論づけた。

ジョン・メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社、2020年3月)253ページ

③運動は健康寿命は伸ばすが、長生きになるにはそれほどでもない

運動は健康にはよいものの、運動を適切にやれば110歳まで生きられる、という純粋な長生きには大きな効果はないというデータがあります。

これまでに得られた多くのエビデンスによれば、運動トレーニングは代謝的な健康状態および幸福感を最大限に高めるうえでは欠かせないものであるが、寿命を大きく延ばすことはないという結果が示されている。

19012名のオリンピック出場選手から得られたデータでは、座位安静がちの一般的な人たちに比べると、平均で3年ほど寿命が長かったものの、そのくらいの寿命の伸び方では、百寿者のレベルには遠く及ばないことが明らかとなっている

ルイージ・フォンタナ『科学的エビデンスにもとづく100歳まで健康に生きるための25のメソッド』(東京大学出版会、2022年11月)24ページ

運動をしてもそれほど長生きができるようになるわけではない、ということはラットの実験結果でも得られている結論です。

回転ケージを用いて自発的な走行運動を定期的に行なうことで、ラットの平均寿命が延びるものの、最長寿命が延びることはなかった。

……エネルギー摂取量を制限したラットに比べて、運動を実施したラットでは、体脂肪量は少なく、反対に、骨格筋量は多くなり、インスリン感受性も大きく改善していたにもかかわらず、最長寿命は延びなかった

同上25, 26ページ

つまり、

運動により健康状態は改善するものの、老化の過程を遅らせることはできない

同上

というわけです。

とはいえ、健康状態は良くなるので、運動によって健康な期間を伸ばせるため、健康寿命は伸ばせます。

(2) 仕事能力アップ

「私はまだ高齢者でないです」という人には、いかに運動が体力だけでなく知的能力を向上させるかを知るべきです。

運動は最強の脳トレでもあるのです。運動の脳トレ効果は以下のとおり。

  1. 運動にはストレス緩和効果がある
  2. 運動には集中力アップ効果がある
  3. 運動すればやる気が出る
  4. 運動をすれば記憶力が高まる
  5. 運動をすればアイデアがひらめく
  6. 運動によって学力が高まる
  7. 運動は脳を健康にする

この脳トレ効果を最大に引き出す運動は有酸素運動で、週2,3回、45分のランニングが効果的です。

この脳トレ効果については以下記事をお読みください。

(3) 運動をすれば美肌になる

筋力トレーニングが肌によいという研究結果が立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授らの研究によって発表されています。

筋力トレーニングが美肌に貢献することを世界で初めて報告 ~筋力トレーニングによる血中成分の変化が皮膚老化の改善に関与することを解明~ |立命館大学 (ritsumei.ac.jp)

【本研究のポイント】

  • 有酸素性運動と筋力トレ―ニング(レジスタンス運動)は、どちらも皮膚老化を改善
  • 特に、筋力トレ―ニングは加齢によって薄くなり見た目の若々しさに関連する真皮の厚み※1まで改善
  • その機序として、運動による血中成分の変化と、それによる真皮の細胞外基質※2( ECM ; Extracellular Matrix)の増加が関与していることを解明
同上

美肌に関しては、特に筋トレがよいようです。

「美容」と聞くと、「俺はいいよ」と思う男性もいるはずです。

しかし、仕事や転職で見た目は大事です。

見た目、それは肌の状況の概観が多くを占めます。

肌の良し悪しは、ぱっと見無意識にわかります。

美意識の高い人ならば、意識的にきれいな肌かどうかを評価します。

美意識の高い人がビジネス相手や転職の面接官だったとして、肌が汚いと思われたら、どう評価されると思いますか?

自分の健康管理もできない人だとレッテルを貼られるかもしれません。

また、そんな美意識の高い人でなくても、相手の状態は「疲れて見える」「老けて見える」など、敏感に無意識のうちに印象として判断しています。

見た目は、仕事・転職・キャリアに重要なのです。表立って言われないだけです。

美容というと、女性や男性X世代のマットみたいなメイク好きの人がやるものだと認識している人もいるかもしれません。

しかし、若い人よりも、中年社員、初老のサラリーマンの方が肌に気をつけるべきです。

放っておいても状態が良い人よりも、放っておいたらひどい状態の人の方が気をつけるべきでしょう。

高い化粧品を買う必要はありません。

運動をすれば、他の大きな健康効果とセットで美肌もついてきます。

(4) 運動はなぜ体にいいのかーちょっとの毒は体にいい(ホルミシス)

なぜ運動が体にいいかといえば、運動によって数々の長寿遺伝子がプラスの方向に調節されるからだ。そのおかげで、テロメアが伸びる、細胞に酸素を運ぶ新しい微細血管ができる、ミトコンドリアの活動が高まって化学エネルギーが増える、といった効果が現われる。こうした機能が加齢とともに減少することは、以前から知られていた。新しくわかったのは、運動によるストレスの影響を最も強く受ける遺伝子が、それらの機能を若い頃の水準に引き戻してくれるということである。簡単にいえば、運動が遺伝子のスイッチを入れ、私たちを細胞レベルで若返らせてくれるのだ。

デビッド・A・シンクレア『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』(東洋経済新報社、2020年9月)193ページ

運動は、上記のような効果がある。

しかし、実は運動は体に負荷をかけるので、それ自体は体によくありません。

運動の興味深い点は、理論的には、体に悪いということだ。運動は酸化ストレスを誘導し、酸化ストレスは老化や病気につながりやすく、筋肉組織の破壊を増やすし炎症も起こす。

ニール・バルジライ『Super Agers スーパーエイジャー 老化は治療できる』(CCCメディアハウス、2021年6月)232ページ

ではなぜ運動は体にいいのでしょう。

運動によって受けたちょっとダメージが体の良い防衛反応を活性化させるのです。

定期的な運動はあらゆる老化の特徴に良い効果をもたらすようだ。その理由のひとつは、「ホルミシス(有害なものが少量では益となること)」という作用かもしれない。この作用が働くと、一定量のストレスが自然防御能の多くを活発化させるため、体を守るのに役立つことがある。適度な運動は代謝率を上げるので、細胞内に酸素遊離基が増える。
かつて、この遊離基は完全に有害だと思われていた。ところが遊離基には複雑な効果があり、有益なものもあることがわかってきた。たとえば、細胞がひどく損傷する危険があるとき、遊離基からの警告によって内部の抗酸化防御を高めることができる。
このようにホルミシスは、酸化ストレスから体を守る仕組みを活発にする作用であり、回復力を強めるものだと考えられる。つまり有害なものにさらされることによって、回復力を強化するのだ。運動に伴う短時間の酸化ストレスにさらされると、ストレス全般への防御力が高まり、そのおかげで老化が遅くなる。
運動は「AMP活性化プロテインキナーゼ」という酵素を刺激する。これは、細胞のエネルギー状態の恒常性を保ち、脂質代謝を制御する酵素だ。運動はまた、栄養源を感知するタンパク質mTORをも刺激し、これは寿命には良くない働きをするが、それでも運動のメリットは欠点をはるかに上回る。
ホルミシスに加えて、定期的な運動は細胞内のタンパク質をリサイクルする仕組みを刺激する。これは損なわれたタンパク質恒常性、すなわち傷ついたタンパク質の蓄積という老化の特徴に直接効き目がある。傷のないタンパク質はDNAを修復するが、DNAはいつもダメージを受けているので、この修復はとても重要だ。もし修復されなかったら、がんが発生するかもしれない。傷ついたタンパク質を分解し、それぞれの要素を使って健康なタンパク質を作る自食作用を、運動は効果的に刺激する。

同上

社会人におすすめな運動の種類

ではどんな運動をしたらよいか。

健康のために運動する、だと抽象的すぎる。

健康長寿のために運動する、でもまだまだ抽象的です。

もう少し日々の運動の目的を具体化します。

運動の具体的な目的

具体的には、運動を以下を鍛えることにより、もって健康長寿になることを目指します。

  1. 呼吸循環機能を高める
  2. 筋肉強化
  3. 柔軟性や機能調整を高める
  4. 動作の質を高める

上記の4つの具体的目的は、以下動画からの引用です。

するべき運動の種類

前記の運動の目的4つをふまえて実践するべき運動は。

#目的運動の種類
1.1呼吸循環機能を高める有酸素運動(ウォーキング、ランニング、水泳、自転車等)
1.2呼吸循環機能を高めるHIIT(High Intensity Interval Training; 高強度インターバルトレーニング)
2.2筋肉強化筋トレ①ー筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)
2.3筋肉強化筋トレ②ーパワートレーニング
3柔軟性や機能調整を高めるストレッチ、ヨガ、ピラティス、
4動作の質を高めるファンクショナルトレーニング、バランストレーニング

色々ありそうですが、以下3つの種類をコアにしましょう。

  • 有酸素運動
  • HIIT
  • 筋トレ

Mayo ClinicのSreekumaran Nair博士は、週に3回のHIIT、2回の筋力トレーニング、2回のウォーキングなどの穏やかな有酸素運動を推奨しています。

また、以下書籍でもこの3つの種類の運動をおすすめしています。

結論は、長生きするには有酸素運動が最も重要だが、ウェイトリフティングを加えるとさらに効果的だということだ。体力が許せば、理想のプログラムは定常運動(※同じ動きを繰り返す運動。たとえばランニング)とHIITとウェイトリフティングを含むものになるだろう。

二クラス・ブレンボ―『寿命ハック』(新潮新書、2022年12月)289ページ

心肺機能の向上(有酸素運動、HIIT)を図りつつ筋力を筋トレで向上させましょう。

運動後にストレッチを行ったり、日々バランストレーニングを組み込みます。

筋力トレーニングは運動パズルの1ピースに過ぎない。
専門家によれば、充実したプログラムには、有酸素運動や柔軟運動も含まれるべきで、高齢者にはバランス体操も含まれる。

Strength and Power Training for All Ages – Harvard Health p.17

有酸素運動

健康長寿、という目的からすれば、有酸素運動を中心にするべきでしょう。

長生きするには有酸素運動が最も重要。

二クラス・ブレンボ―『寿命ハック』(新潮新書、2022年12月)289ページ

HIIT(High Intensity Interval Training;高強度インターバルトレーニング)

HIITこそが健康寿命向上に最も役立つ種類の運動であるというMayo Clinicの研究があります。

運動が体に良いことは誰もが知っているが、特に65歳以上の高齢者の場合、どのようなトレーニングが最も効果的なのだろうか?メイヨークリニックの研究によれば、それは高強度の有酸素運動であり、老化の細胞面を一部逆転させることができるという。

Everyone knows that exercise is good for you, but what type of training helps most, especially when you’re older – say over 65? A Mayo Clinic study says it’s high-intensity aerobic exercise, which can reverse some cellular aspects of aging. 

Mayo Clinic discovers high-intensity aerobic training can reverse aging processes in adults – Mayo Clinic News Network
HIITとは

HIITは短時間の高強度運動(最大努力の90%VO2 max)と短い低強度の回復期間を交互に行うトレーニングです。典型的なHIITセッションは、3分間のウォームアップ、30秒のスプリントと60秒のアクティブリカバリーを4~6回繰り返し、3分間のクールダウンで構成されます(Sprint, rest, repeat: Exploring the benefits of high-intensity interval training – Mayo Clinicより)。

HIITの効果

他のトレーニングよりもHIITの方がよいとのMayo Clinicの研究もあります。

HIITは健康寿命に伸ばすことができるトレーニングであるといえますが、具体的には、重要な指標であるVO2 maxを効果的に高められるのが大きいです。

メイヨー大学の研究者らは、高強度インターバルトレーニング、レジスタンストレーニング、複合トレーニングを比較した。いずれのトレーニングも除脂肪体重とインスリン感受性を改善したが、高強度トレーニングと複合トレーニングのみが有酸素運動能力と骨格筋のミトコンドリア機能を改善した。ミトコンドリアの含有量と機能の低下は高齢者によくみられる。

Mayo researchers compared high-intensity interval training, resistance training and combined training. All training types improved lean body mass and insulin sensitivity, but only high-intensity and combined training improved aerobic capacity and mitochondrial function for skeletal muscle. Decline in mitochondrial content and function are common in older adults.

Mayo Clinic discovers high-intensity aerobic training can reverse aging processes in adults – Mayo Clinic News Network

『ライフスパン』でデビッド・シンクレア教授もメイヨ―クリニックの研究結果をあげています。

メイヨー・クリニックの研究チームは、いくつかの年齢集団において異なる種類の運動の効果を調べた。すると、プラスの健康効果をもつ運動形態はいくつもあったが、健康を増進する遺伝子を一番多く活性化したのは「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」だった。これを行なうと、心拍数や呼吸数が著しく上昇する。高齢の被験者ほど、HIITによる活性化効果が大きかった。

デビッド・A・シンクレア『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』(東洋経済新報社、2020年9月)192ページ

なんでHIITが体にいいかというと、体にちょっときつい(毒)ことは、かえって体を強くするホルミシスから説明ができます。

HIITでは、短時間の激しい運動と休息を交互に繰り返す。例えば、20秒の全力疾走、20秒の休息、20秒の全力疾走、という繰り返しを5~10分続ける。目的は運動強度を定常運動より高めることだ。これは効果が期待できる。なぜなら、ホルミシスは強い急性のストレスを受けた場合に最もよく働くからだ。HIITの支持者らは、HIITは定常運動と同じくらい有益だと考えており、裏づける研究結果も多い。とりわけ、ある大規模なメタ分析では、HIITが定常運動よりも炎症や酸化ストレスを軽減し、同時にインスリン感受性を高めることがわかった。また、別の研究では、HIITは適度な定常運動より約25パーセント多く体重を減らすことが示された。

二クラス・ブレンボ―『寿命ハック』(新潮新書、2022年12月)286ページ
Mayo ClinicによるHIITの効能の説明

上記動画内では以下のように運動とHIITの健康寿命との関わりが紹介されています。

私たちの身体は動くようにできています。メイヨークリニックの新しい研究は、高強度インターバルトレーニング(数分間激しく動いた後、ゆっくり動くことを繰り返すトレーニング)が老化を逆行させるのに役立つことを示しています。運動能力を高めることで、より長く健康でいられるのです。高い持久力を維持している人は死亡率が低いです。研究の著者であるスリークマラン・ナイール博士によれば、座りっぱなしは体の老化を早めるので、どのような運動でも体に良いとのことです。しかし、インターバル・トレーニングは、肥満や糖尿病などの基礎疾患があっても、臓器をより長く健康に保つ細胞レベルの変化をもたらします。ナイール博士によれば、インターバルは全身の健康寿命を延ばし、さらには寿命を伸ばすことにも役立ちます。

Our bodies are meant to move. A new Mayo Clinic study shows high-intensity interval training – that’s when you repeatedly go hard for a few minutes and then go slowly – helps reverse aging changes. It builds exercise capacity which helps you to stay healthier longer. People who maintain a high endurance capacity have lower mortality. Study author Dr. Sreekumaran Nair says any type of exercise is good for you, as being sedentary accelerates the body’s aging process. But interval training produces changes at the cellular level that keep your organs healthy longer, even if you have underlying conditions such as obesity or diabetes. Dr. Nair says intervals help improve your overall health span and even lifespan.

Mayo Clinic Minute: Interval training fights aging (youtube.com)

「運動をよくする人は死亡率が低い」と説明されていますが、死亡率が低いというのは、同じ年齢層で運動をあまりしない人と比べて、ある一定期間内の死亡率が低いことを示しているようです。

この動画の要約は以下の通りです。

HIITの利点:

  • HIITは心肺機能(ピークVO2)を向上させ、全死亡率および心血管死亡率を減少させます。
  • 健康な個人だけでなく、冠動脈疾患や心不全などの慢性疾患を持つ人々にも有益です。
  • HIITは心臓移植患者においても生活の質を向上させ、体重管理にも効果的です。
  • HIITは時間効率の良い運動戦略であり、フィットネスやさまざまな健康指標を向上させ、しばしば中強度の連続トレーニングよりも効果的です。
  • 楽しく適応性が高いため、幅広い人々に適しており、高齢者や運動初心者にも適しています。

HIITの方法:

  • HIITは、短期間の高強度運動と低強度の回復期間を交互に行います。
  • インターバルは10秒から数分までさまざまで、強度も調整できます。
  • ボルグの主観的運動強度評価スケールを使用して強度を調整します。
  • ウォームアップから始め、短いインターバルを取り入れ、クールダウンで終えます。週に3回を目標にします。

プロトコル:

  • ノルウェーモデル: 4分間のインターバル。
  • 低ボリュームHIIT: 1分間のトレーニング(20秒のインターバルを含む)。

要点:

  • HIITは健康な人と慢性病患者の両方において、健康とフィットネスの向上に効果的です。
  • 最小限のHIITでも、重要な健康上の利益をもたらします。
  • さまざまなプロトコルが利用可能で、個々のニーズと好みに合わせて調整できます。

この動画で主に話されているのは、65歳以上の人々に最も効果的な運動です。

Mayo Clinicの最新の研究によると、最適な運動は高強度の有酸素運動(HIIT)です。この運動は細胞レベルでの老化プロセスを逆転させることができるとされています。

HIIITは健康な若い人にも有効ですので、この動画の内容は働く社会人にも役立ちます。

研究の主要研究者であるSreekumaran Nair博士がゲストとして登場し、運動がインスリン感受性を改善し、糖尿病を予防できることを説明します。特に筋肉が糖の代謝に重要な役割を果たしており、年齢と共に減少する筋肉量とミトコンドリアの機能を改善するために、HIITが有効であると述べています。

HIITは、短時間の高強度運動と低強度運動を交互に行うもので、研究結果によれば、65歳以上の人々でもATP生産能力が大幅に向上することが確認されています。しかし、運動初心者は徐々に始めるべきであり、適切な指導を受けることが推奨されます。

Nair博士は、HIITがミトコンドリア機能とインスリン感受性を改善するために最適な運動であるとし、週に3回のHIIT、2回の筋力トレーニング、その他の日にはウォーキングなどを推奨しています。

筋トレ(ウェイトトレーニング)

いわゆる筋トレも健康には重要です。

筋肉量を多く保つのが健康長寿には重要です。

筋トレの4つの目的

筋トレには以下4つの目的があります。

  • 筋持久力の向上
  • 筋肥大
  • 筋力の向上
  • 筋パワーの向上

ムキムキのビルダーのおじさん達が目指しているのは筋肥大です。

当ブログでは、筋トレの具体的目的は「筋力の向上」と「筋パワーの」向上に置きます。筋肉量を増やしつつ、動きの質をよくする土台を作ります。

筋力とは、単純に重いものを持てる力です(マックス50キロを持てるか100キロを持てるかの違い)。

筋パワーは、瞬間的にその筋力を発揮する力です。

ハーバード・メディカル・スクールの書籍Strength and Power Training for All Agesでは、この2つは分けられています。

筋力は重いスーツケースを上の棚に入れる力で、筋パワーはそれが落ちてきたときに防ぐ力なんだそうです。

筋肥大は目的にしません。

私はとにかく筋肉をでかくして鏡で自分の筋肉を見てうっとりし、日々鶏肉のささみとプロテインを取り続ける筋トレオタクにはなりたくありません。

しかし、世の筋トレ本やジムのトレーナー、Youtuberの筋トレの解説は、部位ごとに筋肉を大きくする内容に特化しています。

昔から全然変わってない。

なぜそうかというと、筋トレが1964年東京オリンピック頃にボディビルダー向けに紹介され、それが筋トレというものだ、というのが今まで続いてしまっているからと説明されています。

筋肉を大きくしたい人以外には、そんな筋肥大を目指すトレーニングは必要ありません。

私は動きのよくなる体にするために鍛えて、その副産物として筋肉量も増やせたらと思っています。

日本が誇るサッカーの三苫選手は、トレーニングは自分の身体の機能を高めることを強く意識しています。

「動ける屈強な身体」を持つNBAのスター選手のトレーニングも見てみましょう。

上記は、NBAスター選手のジミー・バトラーのジムでのトレーニング動画です。

伝統的な「普通の筋トレ」は全然していません。

とりあえず部位別筋トレをするのは、なんとなくイマイチだなあ、、と思っています。

また、筋肥大至上主義で非常に重いウェイトでトレーニングをして自分を追い込むのは、かえって老化が進む、血管によくないという意見もあります。

筋トレの効果

高強度インターバルはまた、筋タンパク質含有量を改善し、エネルギー機能を高めるだけでなく、特に高齢者において筋肥大を引き起こした。研究者たちは重要な発見を強調した: 運動トレーニングは、新しいタンパク質を作る細胞機構を著しく強化した。これはタンパク質の合成に寄与し、老化の主な悪影響を逆転させる。しかし、大きな筋力を得るためには、レジスタンストレーニングを加えることが重要である。

Exercise training significantly enhanced the cellular machinery responsible for making new proteins. That contributes to protein synthesis, thus reversing a major adverse effect of aging. However, adding resistance training is important to achieve significant muscle strength.

Mayo Clinic discovers high-intensity aerobic training can reverse aging processes in adults – Mayo Clinic News Network
筋トレすれば美肌になる

運動、とりわけ筋トレが美肌によいことは前述しました。

筋トレはどれくらいの頻度ですべきか

ハーバード・メディカルスクールの筋トレ本によれば、18歳から64歳の成人であれば、20~30分程度の筋トレを週2~3回すべきです。

米国保健社会福祉省が発表した最新の「米国人のための身体活動ガイドライン」によると、18歳から64歳までの成人は、完全な筋力トレーニングを、 週2~3回、20~30分程度行うべきです。筋肉を回復させるため、セッションとセッションの間は少なくとも48時間空けましょう。つまり、月曜日に筋力トレーニングをしたら、次のトレーニングは少なくとも水曜日まで待つのです。

According to the most recent Physical Activity Guidelines for Americans, issued by the U.S. Department of Health and Human Services, adults ages 18 to 64 should perform a complete strength training routine, about 20 to 30 minutes, two or three times a week. (Of course, once a week is better than not at all, if that’s the most you can manage.)
Allow at least 48 hours between sessions to let your muscles recover. So, if you do a strength workout on Monday, wait until at least Wednesday to do another one. The fastest gains in strength are made in the first four to eight weeks; after that, expect progress to slow somewhat.

Strength and Power Training for All Ages – Harvard Health p.17

バランス、ストレッチ等の柔軟性、機能向上のための運動

年を取るにつれ、ストレッチで柔軟性を保ったり、ヨガや太極拳のようにバランスをきたえる運動をすることが大切だ。わたしの妹で、世界中にスタジオを持つスーパートレーナーのオスナットは、柔軟性は一生のあいだ大事だが、年を取るとなおさらだと、わたしに言いきかせた。そのアドバイスに従ったおかげで、わたしは機能障害を防げたのだろう。柔軟性とバランス感覚は、けがの予防にもなる。わたしは15分間のストレッチを少なくとも週に1回、できればもっと多く行っている。

ニール・バルジライ『Super Agers スーパーエイジャー 老化は治療できる』(CCCメディアハウス、2021年6月)229ページ

働く社会人におすすめの有酸素運動メニュー

有酸素運動でこれ、というものはなかなかないのですが、ランニングや自転車等で、それなりに心拍数が上がり、数十分持続できるものがおすすめです。

詳細については以下記事をお読みください。

ランニング(自分にあった心拍数)

Mayo Clinic Minute: How to hit your target heart rate – Mayo Clinic

働く社会人におすすめHIITプログラム

プログラム紹介者時期合計時間メニュー数運動・休憩静か?強度おすすめ度
Mayo Clinic HIIT WorkoutMayo Clinic2019.515分1030秒・15秒×3S
Norwegian Interval training
ノルウェー式HIIT
Rohnda Patrick28分1
(4セット)
4分・3分5S
筑波大学「持久力とスピードを高めて、終盤を制する!最強&地獄の10分間運動」筑波大学2021年10分1030秒・30秒2A
【名越式】HIITトレーニング名越茂彦2024.35分830秒・10秒5B
【中級者向け】静かにできる15分間のHIITトレーニング!CALIDLIFE自重トレ2021年15分1030秒・15秒2.5A
【地獄の12分】これだけでOKの全身マジ痩せHIIT(忙しい人必見)のがちゃんねる2020年12分2420秒・10秒4A

Mayo Clinic HIIT Workout

あの名高いアメリカメイヨークリニックがなんと公式YoutubeでHIITのプログラムを公開しています。

この動画を発見した私は偉い!

2019年5月に公開開始されたものです。

Week1からWeek12まで12プログラムの動画があります。

各Weekのプログラムには、合計10種類の運動が含まれています。

基本的には、30秒運動する、15秒休む、30秒運動する、15秒運動する、、というのを続ける内容です。

やってみるとわかりますが、結構きついです。

ジャンプ動作もありますので、静かに室内でやりたい人にはちょっと不向きです。

この動画の説明は以下の通りです。

高強度インターバル・トレーニング(HIIT)ワークアウトは、健康であるために、時間と努力を最大限に活用する効果的な方法です。わずか30分で、フィットネスを高め、頭を冴えさせ、気分を高揚させる全身運動を体験できます。それぞれのHIITワークアウトは、メイヨークリニックの学習者が実際に行ったクラスから作られています。現在のフィットネスレベルに関係なく、挑戦的でやりがいのあるワークアウトを見つけることができます。各HIITワークアウトのビデオでは、エクササイズの形式を詳しく説明し、各クラスの5つのステーションを構成するすべてのエクササイズの実演を紹介しています。運動器具をほとんど使わず、HIITの各ビデオが前のビデオに基づいて構成されているため、毎週、より強く、より健康的に成長することができます。

High-Intensity Interval Training (HIIT) workouts are an effective way to maximize both your time and effort to be healthy and fit. In just 30 minutes, you experience a total body workout that increases your fitness, sharpens your mind and elevates your mood. Each HIIT Workout comes from actual classes performed by Mayo Clinic learners. No matter what your current level of fitness is, you will find the workouts challenging and rewarding. Each HIIT workout video details the exercise format and features a demonstration of all the exercises that make up the five stations of each class. With little to no exercise equipment, grow stronger and healthier weekly as each HIIT video builds upon the previous one.

Mayo Clinic HIIT Workout for Mind & Body – Week 1 (youtube.com)

12週分ありますが、以前の週と同じメニューも含みつつ少しずつ高度になっていくという作りになっています。

Mayo Clinicが公開しているプログラムということで信頼性抜群。評価S。

Norwegian Interval training ノルウェー式HIIT

  1. ウォームアップ(約10-15分):
    • ジョギングや軽いランニングを行い、心拍数を徐々に上げます。
  2. インターバルトレーニング:
    • 4分間の高強度の運動(ランニングや自転車)(最大心拍数の85-95%)。
    • 3分間の低強度の運動または歩行での回復(最大心拍数の60-70%)を4セット繰り返します。
  3. クールダウン(約10-15分):
    • ジョギングやウォーキングで心拍数を徐々に下げます。

様々なVO2 maxトレーニングプロトコルがあります。高強度インターバルトレーニングを使ってVO2 maxを向上させたい人にとって、重要なのは長めのインターバルを取り入れることです。例えば、2分、3分、4分、あるいは5分間の持続可能な最高の負荷で運動し、その後に休息と回復を挟みながら4回のインターバルを行います。このプロトコルは20分程度の時間を要しますが、VO2 maxの大幅な改善につながる可能性があります。

Dr. Martin Cabalaは、3分から5分の繰り返しを最高の持続可能な強度で行う例を挙げています。これを行い、その後休息と回復を繰り返し、合計で20分間のセッションを行います。

人気のあるバリエーションの一つが、Norwegian 4×4インターバルトレーニングプロトコルです。このプロトコルでは、4分間のインターバルを行い、心拍数の最大値の85%から95%を目指します。これらのインターバルは非常に厳しいため、3分間の回復期間が必要です。この間、心拍数を大幅に下げ、乳酸をクリアし、次の4分間のインターバルに備えます。この4分間のインターバルを4回繰り返し、その間に3分間の回復を挟みます。

もう一つのVO2 maxトレーニングプロトコルとして、1分オン、1分オフプロトコルがあります。これは、1分間の高強度インターバルを行い、その後1分間の回復を行うパターンを10回、または5回繰り返します。合計で約25分間のセッションを行います。このプロトコルもVO2 maxの向上に効果的であり、時間の柔軟性があります。1分間のインターバルは4分間のインターバルに比べて少し楽で、痛みも少ないです。

これらのプロトコルはテンプレートであり、個々のフィットネス目標に応じて多くのバリエーションがあります。他にもVO2 maxを向上させるプロトコルがありますが、重要なのはタバタのような20秒のインターバルよりも長めのインターバルを行うことです。少なくとも1分間の持続可能な最高の強度で運動することが重要です。Norwegian 4×4プロトコルは、おそらく最高のものの一つです。

筑波大学「持久力とスピードを高めて、終盤を制する!最強&地獄の10分間運動」

「学生アスリート向けのサーキット10種目です! 持久力とスピードの両方が鍛えられます!」と紹介されています。

HIITとは紹介されていませんが、他のHIITプログラムで使用されている運動も含まれていて、30秒運動→30秒休憩のセットのプログラムであり、HIITプログラムとして使えると思います。

「持久力・アジリティ」を鍛えたいというアスリート気質な社会人におすすめです。

30秒休憩で、自宅向けに静かにやるとやや強度が落ちます。

【名越式】HIITトレーニング・鬼の5分間、君はついて来られるか!?

名越さんのトレーニング動画はどれも良質のもので、これも本格派です。

しかし問題が1つ。

これは見ただけでやばいくらいきついです。

体力に自信のある人だけにおすすめ。

【中級者向け】静かにできる15分間のHIITトレーニング!

Mayo Clinicのメニューよりもやや強度が低く、静かにできるのでマンション向け。

運動してない人には「最初の腕立て無理だろ。。」となりますが、それ以外はそんなにきつくない、はず。

【地獄の12分】これだけでOKの全身マジ痩せHIIT(忙しい人必見)

地獄とついてますが、これは確かにきつい。

後半は息が上がります。

働く社会人におすすめの筋トレメニュー

残念ながら筋トレメニューでおすすめなのはあまりありません。

日本のトップアスリートはともかく、一般人レベルの筋トレは、1964年以来のボディビルダー的な筋肥大目的のトレーニングに偏ってしまっているようです。

(1) ハーバード・メディカルスクールの筋トレ本”Strength and Power Training for All Ages”

ハーバード 筋トレ

ハーバード・メディカルスクールが筋トレの解説本を販売しています。

Strength(筋力)とPower(筋パワー)を分けています。

筋トレのメニューはStrengthもPowerも共通ですが、テンポ等のやり方が異なります。

PDFなら18ドル。すぐ買えます。英語しかないのが欠点。

有酸素運動だけでなく筋力トレーニングも、心臓病、糖尿病、関節炎、骨粗しょう症など、さまざまな疾患の管理、予防に役立つことが研究で証明されています。また、活力を守り、日常の仕事をより扱いやすくし、健康的な体重を維持するのにも役立ちます。全年齢のためのストレングス&パワー・トレーニング』は、自分に合ったプログラムを開発することで、ストレングス・トレーニングを次のレベルに引き上げる手助けをします。

Studies attest that strength training, as well as aerobic exercise, can help you manage and sometimes prevent conditions as varied as heart disease, diabetes, arthritis, and osteoporosis. It can also protect vitality, make everyday tasks more manageable, and help you maintain a healthy weight. Strength and Power Training for All Ages helps you take strength training to the next level by developing a program that’s right for you.

Strength and Power Training for All Ages – Harvard Health

類書として、”for older adults”もありますので、上記の書籍は高齢者・虚弱者向けではないと推測できます。

Strength and Power Training for Older Adults – Harvard Health

社会人は運動はどれくらいやるべきか

(1) WHO身体活動・座位行動ガイドラインが推奨する運動時間

WHO身体活動・座位行動ガイドラインが推奨する運動時間
WHO身体活動・座位行動ガイドライン要約版(日本語訳)がリリースされました。 – KEIO SPORTS SDGs
運動種類推奨最低時間
有酸素運動以下①~③のいずれかの運動量
①中強度 週150分(2時間半)~300分(5時間) 以上
②高強度 週75分(1時間15分)~150分(2時間半) 以上
③上記①と②の組み合わせ
筋トレ週2日以上

(2) できるだけたくさん

怪我するくらいたくさんはよくありませんが、毎日空き時間を見つけてできるだけたくさん運動するのがベストです。

運動はホルミシスの一例であり、すでに述べたように効果は回復期に現れる。運動中には血圧、血糖、酸化ストレス、炎症がすべて増える。だが長い目で見ると運動は安静時血圧を下げ、血糖値を改善し、炎症や酸化ストレスを減らす。わたしたちは運動によるストレスに適応して回復力を高めていく。ただし、運動がホルミシスとして働くのであれば、どこかに上限、つまり、これ以上はストレスが強くなりすぎるというティッピングポイントがあるはずだ。問題はその運動の上限が、わたしたちのような普通の人が心配すべきものかどうかだ。言い換えれば、1週間に数回、趣味のジョギングをするだけで上限に突き当たるのか、それとも、アメリカ横断自転車レースやサハラマラソンに挑戦しないかぎり心配はないのかということだ。

クリーブランドの研究によれば、何も心配しなくていいはずだ。最も運動量の多い被験者も十分健康だったので、わたしたちは運動はすればするほど良い、というルールにしたがって生きても支障はないだろう。だが、これは間違いなく、自分の体の声に耳を傾けるべき事柄だ。運動が健康に良いのは、回復中に起きるさまざまな反応のおかげだということを忘れないでほしい。

二クラス・ブレンボ―『寿命ハック』(新潮新書、2022年12月)285ページ

(3) 少しでもやるべき

「ちょっとくらい運動しても意味ない。ジム行くくらいしないと。それができないならやってもしょうがない」という考えは間違いです。

エスカレーターの代わりに階段を使う程度の運動でもしないよりした方がいい。

重要なポイントは、完璧を求めすぎないことだ。複数の研究によると、どのような運動でも何もしないよりはましで、最も望ましいのは運動を習慣化することだ。好きな運動を選べば、続けるのは容易だろう。

二クラス・ブレンボ―『寿命ハック』(新潮新書、2022年12月)287ページ

運動には脳力強化の効果がありますが、激しい運動は不要です。

脳を強化するのに、多くを行う必要はない。必要とされるのは、信じがたいほどささやかな運動だ。

ジョン・メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社、2020年3月)257ページ

ただ歩くだけ、プールに入るだけでいい

それこそが、運動の驚くべき効果だ。運動は、加齢による衰えを遅らせるだけではない。脳の働きも良くする。しかも、その恩恵を得るのにオリンピック選手並みに努力する必要はない。ただ歩くだけ、あるいはプールに入るだけでいい。

同上256ページ

社会人の良い運動習慣のために重要な指標(VO2 max等)

VO2 max(最大酸素摂取量)

健康寿命延伸のために運動を取り入れる人が最も重視する指標がVO2 maxです。

VO2 maxとは

VO2 maxは、「ぶいおーつーまっくす」と読みます。英語でもそう。

日本語では最大酸素摂取量。

V = Volume(量)

O2 = 酸素

max = 最大値

体力の構成要素のうち全身持久力の指標です。運動中に体内(ミトコンドリア)に取込まれる酸素の最大量を示し、有酸素性能力や有酸素性パワーとも呼ばれています。

最大酸素摂取量 / VO2max | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

心肺機能は最大酸素摂取量 (VO2 max)、すなわち運動時に体に取り込める酸素の最大量で測定されます。

心肺機能レベルを追跡する – Apple サポート (日本)

1923年に、HillとLuptonによって定義づけられ、スウェーデンの生理学者であるAstrand(1952)によって広く世界に普及しました。測定法には、直接法と間接法があります。直接法は、自転車エルゴメーターやトレッドミルなどを用いて最大努力での運動中に採気された呼気ガスを分析し、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量を算出します。一方、間接法では、心拍数や運動負荷などから最大酸素摂取量を推定します。
男性30歳の平均値は、体重あたりで40ml/kg/min程度ですが、エリート長距離選手の最大酸素摂取量は90ml/kg/minにも達します。

最大酸素摂取量 / VO2max | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

VO2 maxにはどのような意味があるのか

心血管系疾患の罹患率や死亡率とも関連するなど、全身持久力としての体力の評価値としてはもちろんのこと、健康を表す指標としても重要であると考えられます。

最大酸素摂取量 / VO2max | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

心肺機能は最大酸素摂取量 (VO2 max)、すなわち運動時に体に取り込める酸素の最大量で測定されます。心肺機能のレベルは、身体の全体的な健康状態の確固たる指標となり、長期的な健康状態を予見する上でも役立ちます。

心肺機能レベルを追跡する – Apple サポート (日本)

筋肉量(muscle mass)

筋肉量を増やすためにトレーニングをするのは”アンチエイジング”そのものです。

(1) 筋肉量は加齢とともに減少していく

成人の筋肉量は、何もしなければ年々減少していきます。

30歳をすぎると、10年ごとに筋肉量の約5%、筋力の約10%を失う。そして70歳をすぎるとその喪失速度は2倍以上になる。

アンドリュー・スティール『AGELESS』(ニューズピックス、2022年11月)326ページ

段々と動けなくなっていくわけです。

まさに老化。筋肉量にそれが現れてるわけです。

(2) 高齢になっても筋肉量は増やせる

高齢になっても筋肉量は増やせます。

加齢による筋肉量と筋力の低下は専門用語で「サルコペニア」と呼ばれ、研究によって、筋力トレーニングで大幅に回復できることが明らかになっている。例のごとく、始めるのに遅すぎるということはない。運動プログラムが30代の健康状態を改善することも明らかになっており、2カ月の筋力トレーニングで60代の人の筋力がほぼ倍増し、歩く速度が50%速くなった。

アンドリュー・スティール『AGELESS』(ニューズピックス、2022年11月)326ページ

下りエスカレーターを駆け上がるように加齢による筋肉量の減少にトレーニングで抗いましょう。

社会人の健康寿命向上のための運動にあたって参考になる人達

デビッド・シンクレア(David Sinclair)

シンクレアは、ベストセラー作『ライフ・スパン』の著者です。ハーバード大学の遺伝学教授であり、老化の研究に携わっています。カロリー制限とNAD+レベルに反応するタンパク質であるサーチュインに関する研究で知られています。

シンクレアの研究室では、寿命調節におけるサーチュインの役割や、エピジェネティックな変化が老化の原因であるという考えなど、老化に関する多くの発見をされてきました。また、起業家としても成功を収め、多くの賞を受賞されています。

著書だけでなく積極的に情報発信をしています。

ブライアン・ジョンソン(Bryan Johnson)

ブライアン・ジョンソンがどんな人かは上記の日経新聞の動画がわかりやすいです。

動画内では「1日100錠以上サプリメントを飲む」とされていますが、その後サプリのプロトコルが変更され、ジョンソン自ら立ち上げたサプリメントブランドのサプリを飲むことでだいぶ数は減っています(それでもかなり多い)。

ジョンソンは、睡眠、運動、食事を厳格にコントロールし、安全性があるとされている最先端の医療にも積極的に取り組み、「死なない」ためにがんばっています。

ブライアン・ジョンソンが実践している「死なない」ようにするプロジェクトBlue Printと名付けられています。

何を食べているか、どんな運動をしているか、何時にどんな部屋でどのマットレスで寝て何時に起きるかといったありとあらゆる情報を整理して公開していてけっこうおもしろいです。

社会人でジョンソンと同じ活動をするのは無理ですが、「1つずつ取り入れよう」というのがジョンソンの提言です。

少しでも若返って体調が良くなったり、肌がよくなったりすれば、仕事・転職にも役立ちます。

Bryan Johnson

blueprint (bryanjohnson.com)

Bryan Johnson (komi.io)

運動用おすすめグッズ

ヨガマット(トレーニングマット)

色々検討した結果、おすすめはこれ。

厚さ10mm。2000円くらい。以下参考動画1つ目でおすすめされているヨガマットです。

床で腹筋トレーニングをしたりストレッチをしたりすると関節が当たって痛いです。

それを防ぐためにはヨガマットがあると安心。

また、静かにトレーニングしたい人は、厚めのヨガマットを使うとよいでしょう。

厚みは10mmくらいをおすすめします。

あまり薄いと、ストレッチとかの時に床に当たって痛いですし、防音性も落ちます。

逆に厚いとしまう時にかさばって場所を取ります(丸めるのも難しくなります)。

以下参考動画

トレーニングバンド(エクササイズバンド)

TRX ストレングスバンド NEW MODEL | トレーニング製品,バンド | TRX Training Japan オンラインショップ (shop-trxtrainingjapan.com)

ハーバード・メディカルスクールの筋トレ本で紹介されているトレーニングでバンドを使ったトレーニングは自重・ダンベルトレーニングと並ぶ基本的なものとされています。

バンドはどれを使えばよいか。

アメリカNBAのチームでトレーナーをやっていたことのある中山佑介さんは、TRXのバンドを勧めています。

自体重エクササイズに付加を加える際に活躍するゴムバンド。僕が自分用に使っているのはTRX Japan製のものです。家で行うエクササイズ用であれば、一番負荷が軽いエキストラライトがおススメ。同社の製品は在庫切れが続いているので、見つけたらラッキーです。ミニバンドも揃えると、エクササイズの幅が大きく広がります。

ホーム用お薦めトレーニング器具10点|TMG athletics

今現在は、エキストラライトよりも軽いものが販売されているようです。

太さと抵抗レベル

  1. XXXライト 0.7cm  2kg〜7kg
  2. エキストラエキストラライト 1.3cm 7kg~14kg
  3. エキストラライト 2.3cm 11kg~23kg
  4. ライト 3.1cm 16kg~31kg
  5. ミディアム 4.4cm 20kg~50kg
  6. ヘビー 6.4cm 27kg~68.0kg

楽天市場でもAmazonでもこのバンドの取り扱いは見当たりませんでした。

公式サイトから買うしかない。

社会人 運動

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