転職活動は大変です。
私は、30社以上の転職エージェントと面談をして転職活動をしてきました。
その経験から、転職検討の際にはたくさんの転職エージェントに会うべきと考えています。
しかし、転職エージェントに乗せられないように気をつけて転職活動をしなければなりません。
何しろ転職活動は大変です。
自分の時間をむやみにとられてストレスを抱えないように。
I 転職活動のデメリット
転職活動は、転職するための活動です。
多くの場合、多大な苦労を伴います。
1 転職したい企業で、かつ、転職可能性のある応募先は少ない
「給料1000万円、仕事は楽で安泰。やりがいもある有名超一流企業」
こんなところで働けたらいいと思いませんか?
そう思っている人にはそこは高嶺の花の職場かもしれません。
人は高嶺の花の職場に興味を持ちます。
年収で嫉妬すれば簡単に惨めな人生を過ごせる、と記事にしたとおり、他人の年収を羨むのはあまり得策ではありません。
とはいえ、他人の高年収への嫉妬が転職の動機になる人もいます。
しょうがない。
他人の年収事例が知りたい人向けの記事が、【調査】転職のため高年収の儲かる職業の給料相場を知らずにはいられないです。
いかなる動機であれば、「おっ、ここに転職できたらいいかも」という企業があって転職活動を始めたとしても、それ以外にそんなにいい求人はありません。
応募者が転職市場であまり価値がなかったとしても、それに見合ったイマイチと思う企業には転職したくないはずです。
転職希望者の多くは、行きたい転職先が少なく、悩みます。
私も、たくさんの転職エージェントのところに面談に行き、数えきれないくらいの求人票を見てきました。
「ここいいな」と思う求人は本当に少ないです。
10%もありません。5%もないかもしれません。
転職したかったら、提示された求人情報から、「ここは悪くないかも」と自分を説得してなんとかいい職場だろうと思い込ませるのです。
楽しい作業ではありません。
2 履歴書・職務経歴書を書くのは大変だ
応募するとなれば、応募書類の準備が必要です。これも大変です。
履歴書を正確に書く、職務経歴書を書く。
言うのは簡単です。
しかし、筆が進みません。とても面倒です。「自分のことを書く大事な書類」と考えただけで気が重くなります。
自己PRになるような職務経歴書ってどう書けばいいのか?
そもそも職務経歴書ってどう書けばいいのか?
本を読んでもそんなすぐに書けるようにはならないし、自分って何やってきたっけ?
このように色々悩みますし、誤字脱字とかがあってもいけません。
いいかげんに書けばいいのですが、そうも行きません。
私が採用担当なら、履歴書・職務経歴書のミスは減点します。
重要書面のチェックができていないからです。
書類作成は大変なので、うまくテンプレートをつかいましょう。
転職職務経歴書の心理学的に有効な書き方・コツ | 書類審査突破率を上げるを参考になさってください。
応募準備は辛いです。
リクルートエージェントに登録すると、かつては職務経歴書セミナーが無料で受けられました。
職務経歴書を書く大変さは変わりませんが、セミナーは役に立ちました。
セミナーは、役には立ちます。
とはいえ、セミナーに出れば当然時間が取られます。
転職活動の一環としてこんなことにも時間を使わねばなりません。
3 書類の通過率は10%台?!足切りはけっこうつらい
「この企業いいじゃん!」と思って書類を出します。
- 「ここの内定もらったら給料いくらくらいだろう」
- 「職場までどうやって通おう。引っ越そうかな」
- 「どんな仕事があるのか」
と書類応募後に色々考えます。
一生懸命書類を準備して出しただけで、その会社に将来転職するのだと思ってあれこれ考えます。
宝くじを買って当たったらどうしようと考えるようなものです。
しかし、一瞬で夢は砕かれます。
書類が通過しなければそうなります。
5社に応募したとします。1社はとても興味がある。4社は興味がある。
とても興味がある1社が早々に書類落ちになる。
幸先が悪い。
残りの4社がよいところと信じて進むしかなくなるのです。
書類落ちは辛いです。
心の持ちようは大事です。
転職活動中の自分のメンタルマネジメントを大切に。
4 面接に呼ばれた!準備をしないと
面接に呼ばれたら、それは突破率10%台の書類審査をくぐり抜けたことを意味するので、喜ぶべきことです。
しかし、新たなストレスが発生します。
次には、大事な面接があるのです。
面接では何を話したらいいのか。
準備が大変です。
準備、何をしますか?
私は、その会社のウェブサイト、有価証券報告書等のIR情報、口コミサイト等々を見ますが、大変です。書籍・雑誌や過去新聞記事を読むこともあります。知り合いがいないか探すこともあります。
調査について詳しくは転職のための情報収集と企業研究のやり方をお読みください。
書類審査突破後面接までは短時間でその企業のことを調べなければならず、何を知っておいた方がいいのかも考えねばなりません。
質問も考えます。
「ブラック企業ですか?」と聞くわけにはいきません。
面接時の質問は非常に大事です。
それゆえに事前に質問を考えるのは頭を悩ませる作業なのです。
5 転職面接は緊張する
身だしなみや持参物をしっかりする。
時間に遅れないように行く。
当たり前のことなのですが、間違いないようにやろうとすると少し神経がすり減ります。
そして、面接はアウェーで知らない人と会うわけで、こちらが売り込む側なので、大変です。
企業は高い金(給料等の人件費)を支払って労働力を買おうとしています。
転職では、応募者は企業に「こいつは人件費以上の価値がある」「買おう(採用しよう)」と思ってもらわないといけません。 https://t.co/wzztKEbfJ3 pic.twitter.com/FVE0EjFZkl
— にゃんがー@外資弁護士サラリーマン (@Nyanger_b) 2019年11月3日
- 「悪く思われないかな」
- 「うまくしゃべれるかな」
- 「何を聞かれるんだろう」
と心配になります。
応募者は、どんなアピールをするか悩むことになるのです。
”筆記試験をやります”
なんていう恐ろしい企業もあります。
6 転職面接後もストレスフル
名刺をくれる面接官がいます。
くれなくていいのに。
名刺をもらうと、お礼メールを書いたほうがいいのか、と悩みます。
お礼メールを書くのは大変です。
1行で済ませるわけにはいきません。
ポジティブな内容で、面接内容に言及しつつ次につなげるようなものにします。
これも誤字や変な表現がないかマジメに書くと時間がかかります。
また、転職エージェントにも連絡をとらねばなりません。
電話で話すか、メールで伝えるかですが、メールで丁寧に書くと記録が残るので自分の役に立ちます。
これも手間です。
7 1次面接落ち。せっかく書類通過したのに。
面接に落ちると、これもまたショックです。
通るのは書類だけか、、と考えてしまいます。
落選は辛いです。
転職活動の書籍を見れば、「相性が悪かっただけ」「落ち込む必要はない」と書いてありますが、やはり落胆します。
受けいれてもらえなかったという拒絶感があります。
ただ、やはり確率で考えてしょうがないと切り替えるしかありません。落選のショックを全部まともに受けていたらやってられません。
8 1次面接突破!期待・ストレスは高まる。
転職活動の面接回数は少ないことが多いです。2次で最終面接というのはけっこうあります。
1次に通ると、ライバルが激減しており、内定がかなり近くなります。
それだけにストレスは高まります。
9 2次、3次、最終面接落ち
「あと少しだったのに。。」
これは辛い。行きたい企業であった場合、引きずってしまいます。
10 手持ち減少の恐怖ーいつになったら今の仕事を辞められるのだろう
書類落ち、面接落ち、これらはいずれも応募先企業の減少を意味します。
手持ちの弾丸が減るのです。
転職活動してると常に手持ちで5社ぐらい選考が進んでいる状態じゃないと不安になる病になってる。面接でダメだった瞬間、エージェントに次の候補の会社のエントリー依頼をしている。あと、常に求人を見てる。あー転職活動が目的化してしまってるね。残念ジョリビーさん。週末に切り替えよう。
— ジョリビーグローバル (@Jolliebe_global) 2021年1月29日
転職活動中の上記ジョリビーさんのツイートは、転職活動をしている途中の求職者の胸中を具体的かつ端的に表しています。
(1) 一刻も早く現職を辞めたい場合の応募数減少は辛い
現職場を今すぐ辞めたい場合、持ち球が減るのはけっこうしんどいですよ。「まだ今の職場辞められないのか」と気が遠くなります。
今の職場を辞めたい、というのが動機の転職活動の場合 ― 多くはそうだと思うのですが ― 転職活動の進みがよくないということはつまり職場を抜けられず、嫌な環境に居続けなければならないことを意味します。
その状態で落選すると、もし内定がもらえたら辞められると期待した状態から、「まだ今の職場にいなければいけないのか・・・」という心境に追いやられてしまいます。
これは辛い。
しかも仕事をしながら転職活動はそんなに楽ではないです。
苦労して転職活動をして、書類を出しても面接に呼ばれない、ようやく呼ばれても落ちてしまう。
複数応募して、「手持ち」の応募先が落選で減っていくのは神経がすり減ります。
まず仕事を辞めて転職活動をすることも可能ですが、おすすめできません。
(2) 今の職場が特別嫌で辞めたいわけではないがステップアップのために転職活動をする場合でも落選はきつい
この場合でも、転職活動がうまくいかないと辛いです。この場合は、応募先企業はそれほど多くないでしょう。
なので、転職できる可能性は低いのです。
そして、応募先企業を絞るということは、志望度が高い企業だけに出すということです。
志望度が高い応募先に出すと、それだけ重視しますから、その分余計に緊張します。どうてもいいところに応募するのとはわけが違います。
応募しただけで転職したらどんな感じの生活になるか考えてしまいます。
そのため、落選は高い期待の反動として大きなショックになります。
(3) 転職活動ストレスへの付き合い方は、それを受け容れて「しょうがない」と考えること
転職活動がうまくいかなければ、職務経歴書を書き直す、面接対策をする、といった反省もした方がいいと思います。
しかし、あまり根詰めるとしんどくなってきます。
転職活動のストレスは、新しい仕事・環境・生活という大きな変化をもたらすことに対する大きな期待の裏返しであり、それはそれだけ大事なことをしているのだと割り切るしかないのかなあと思います。
ある程度は「しょうがない」としないと大変です。
気分転換も必要になるかもしれません。
うまくいかずに落ち込んでいる人は、まずは自分を大切にしてあげてください。
11 内定獲得!行くべきか、行かざるべきか、それが問題だ。
超行きたい!という会社から内定が出るとは限りません。まあいいか、というところや、いいんだけど不安、という会社、どうでもいい会社。色々あります。
内定を受諾すべきか。まだ転職活動を続けるか。
今の職場をすぐに辞めたければ、転職活動続行はとてもきつい。
複数内定が出たら、幸せな悩み、とはなりません。甲乙つけがたい内定先の場合、全然うれしくない比較検討地獄が待っています。
この比較検討で憔悴しきるくらい悩む人を私は現に見たことがあります。
これに陥るとけっこうきついですよ。
比較検討地獄の救済記事が会社を辞めて転職するか辞めずに残るかを正しく決断する方法です。
12 退職は辛いよ
現職場に退職を伝えねばなりません。
よっぽど喧嘩別れでもない限り、退職を切り出すのは忍びないです。
退職代行サービスが流行るのはそうだろうなあと思います。
お世話になった人や仲のいい人もいます。
そうした人達と離れることになるわけです。
人的つながりが断たれるのです。
13 転職先就業開始前ブルー
新しい職場、ワクワクして行けますか?
新しい職場では、転職者がどんな人か手ぐすね引いてまっています。試されます。
知らない人の中に飛び込み、その試験に耐えねばならないのです。
やっていけるかな、また転職することになるのでは、等々不安が募ります。
14 慣れない職場で悪戦苦闘
わからないことだらけで、あれこれ人に聞かねばなりません。しばらくは、出社するだけで神経をすり減らします。
まわりは知らない人だらけです。転職者はしばらくは注目の的です。現職場の人は、「新しく入った人、どう?」とか世間話のタネにしています。
転職で発生するプレッシャーは、転職して初めて発生します。転職しなければ体験せずに済みます。
英語で電話を話したら、周りが「シーン」となって転職してきたばかりの人が英語を話すのを聞こうとします。
英語が得意でない人、こんなことやられたいですか?
II 転職エージェントが転職ストレスに理解を示してくれたことはない
「とりあえず応募しましょう」
転職エージェントは事もなげに言います。
彼らにとって、応募者は弾丸です。下手な鉄砲数打ちゃ当たる、と考えています。
応募者のストレスなんてどうでもいいんです。内定を取って入社してくれさえすれば。
転職エージェント全員がそうではありません。応募しない方がいい、と言ってくれたエージェントもいました。
でも、そういうエージェントも、面接が進行して2次、3次になると、目の色を変えて、その企業に入るべきだ、と言ってきたことがあります。
幻滅しました。
気をつけねばなりません。
とりあえず応募には慎重であるべきです。
自分の時間と労力はどこに費やすべきかよく考えましょう。
III 転職活動は可能性獲得活動であってそれ自体は有益ではない
転職活動をしなければ転職の可能性は開かれません。
とはいえ、転職活動それ自体はそれほど自分自身の成長には役に立ちません。
1 転職活動はIR活動
転職活動は、株式会社でいうところの投資家向けのIR活動のようなものです。
IR(Investor Relations)をうまくやると、投資家の会社への理解が深まり、投資が呼び込まれ、株価が上がることが期待されます。
「会社の株価なんて知らないよ」という社長はなかなか潔い態度の持ち主ではありますが、それは株主の資産である当該会社株式の価値が低迷してもよい、株主の資産が増えないでもよいということを意味しますので、株式市場ではあまり評価される態度ではありません。
とはいえ、IRをいくらやっても会社の業績にはあまり関係しません。
株価を上げるには、本業でしっかり利益成長を図るのが基本です。
アナリスト等に対して「あなたたちと話しても会社の業績はよくならない。IRに時間を割くなら営業に時間を割きたい」と言う社長もいます。
本業のビジネスをしっかりとやりつつ、抜かりなくIRもやる、というのが優等生の社長の姿かもしれません。
2 転職活動に投じた時間は内定獲得以外にリターンをもたらさない
転職活動は、自分を売り込む活動、自分を理解してもらう活動、自分を良く見せる活動であり、自分を成長させることそれ自体を目的としたものではありません。
「面接で新しい世界に出会えるのはよい経験で自分の成長につながるはずだ」
という前向きな意見はあるかもしれません。
転職活動にもプラス面があるのはそうかもしれませんが、プラス面は相対的に少ないと思っています。採用のための面接で知らない人と話して得られるものがどう役に立つのかはよくわかりません。面接慣れするかもしれませんが、その慣れはあまり他では役に立たなさそうです。
「自己分析をする時間になる」
というのもあるかもしれません。
しかし、自己分析ってあんまりうまくいきません。
やってみてその結果どうなるんだろう、と思っています。
「そうか自分はこういう人間なんだ!」とわかって、それが普段の仕事や生活に役に立つかというと、そうでもありません。転職向け自己分析は結局転職を意識したものです。
転職活動自体は、マイナスとは思わないのですが、機会費用を考えなければなりません。転職活動に充てた時間は、他の活動をする時間を失っている時間を意味します。
転職活動よりも自分を成長させられることはたくさんあると思います。
転職活動よりも現職場の仕事を熱心にやる方が力がつきます。
現職場の仕事に身が入らないのであれば、勉強をするのも成長に役に立ちます。
運動することは最高の脳トレらしいので、運動するのもいいはずです。
こうしたものだけでなく、よく休む、遊びに行く、も有用な時間の使い方だと思います。
ワインスクールに通うのだって時間がかかります。
転職活動は、上記のような活動に比べると、得られるものが乏しいと考えています。そのため、絶対的にはプラスの経験かもしれないものの、相対的にみればマイナスは大きいなあと思っています。
自分が採用担当者になったつもりで考えてみてください。応募者がいます。
その応募者が「私は転職活動をものすごく力を入れて何年もやってきました」と言うのを聞いても全然響かないと思います。採用担当者であれば応募者の職場での職務経験を聞きたいはずです。
なので、転職活動の基礎となる自力、企業の本業にあたるのはやはり自分の職務経験です。これを磨かねばなりません。これがないと自信を持って面接でアピールできません。
しかし、転職をキャリア形成の手段として使うなら、転職活動は避けられません。
3 転職活動に費やす時間を考えよ
転職活動にかける時間をそこそこにとどめ、本業をがんばる、というのがよい(それ以外にあるのか?)と思っています。
ただ、転職活動にかける「そこそこの時間」は決して少なくありません。これほど転職活動のデメリットを語っても、たくさんの転職エージェントに会って情報収集をし、企業について調べ、面接の対策にはかなり時間をかけるべきであると考えています。
IV 転職活動の大変さを過小評価するべからず
むやみに転職回数を増やすのは得策ではありません。転職活動を本格的にすべきかどうかは上記のようなストレスも考慮に入れた方がよいと思います。
転職を考えたらどうしたらいいのか。
リクルートエージェントとか、dodaとか、マイナビとか、応募プレッシャーをあまりかけてこないエージェントにとりあえず面談に行く、くらいならストレスもあまりかからずいいのかなと思います。
転職活動をしなければ余計な労力はかからない、という考えは転職エージェントは教えてくれません。
転職活動をゆるくやってストレスを抑えるという考えは持っていてしかるべき思考法です。
とはいえ、転職したい、転職を検討したいと考えるのであれば、転職活動に時間を割かなければなりません。
そうしなければ道は開かれませんし、よい転職先も見つかりません。
「転職活動をすべきではない」というのは本記事のメッセージではありません。
転職活動は大変なのである、ということを伝えるのがメッセージです。
そのことを念頭に置いて覚悟を決めて、自分なりにどのように取り組むかを決めて臨むことでよい転職活動ができます。
転職エージェント総まとめ | 34社相談体験に基づく評価 – 転職キャリアルール
コメント
コメント一覧 (3件)
[…] http://www.career-rule.com […]
[…] 転職活動は辛い疲れるストレスフルな活動って知ってた? […]
[…] 転職活動は楽しくないのです。 […]