サラリーマンがより高い年収を得るために身につけるべきスキルとは何か。
どのようなスキルを身につければ転職市場価値は上がるのか。
「市場価値」という言葉は曖昧であまり良くないですが、転職した場合に得られる年収ととりあえず考えます。
新聞を読めば「リスキリングが必要だ」なんて書かれています。「リスkilling?リスを殺しちゃいけないだろ」とか思ってたのですが、たぶん、re・skillingで再びスキルを身につけるという意味だと思います。。
会社員・サラリーマンが他の会社に転職するにあたっての市場価値を上げる(年収を上げる)スキルは、特定するのは簡単です。
職務経歴書を飾れる内容こそがサラリーマンが身につけるべきスキルです。
1 会社員の有用なスキルは採用会社が決める
世界一速く大根を切る包丁さばき。
そんなスキルを持っていればすごい。まさにハイスキル。
しかし、そのスキルを持っていても会社員として高い年収を得られるわけではありません。
また、「語学」といっても、今はもう使われていないラテン語に詳しいです、と言ってもそれも会社員の年収に結びつくスキルではないことも明らかです。
サラリーマンがスキルを身につけて年収を上げたい場合、そのスキルはサラリーマンとして給料をもらうということと結びついている必要があります。
サラリーマンの収入は、雇用契約によって雇用主から支払われます。つまり、決めるのは雇用主たる企業です。
企業が「そのスキル買った!」と言えるスキルを持つ必要があります。
したがって、ハイスキル人材として高い給料をもらいたいと思うなら、自分が有用と思うスキルではなく、企業が有用と思うスキルを身につけなければならないのです。
×自分が有用と思うスキル
〇企業が有用と思うスキル
そして、転職して高い給料をもらいたいなら、高い給料を支払ってくれる企業・ポジションをターゲットにしなければなりません。
給料が安い仕事 | 給料は流しそうめんのように決まるで書いた通り、給料の安い・高いは、その給料がもらえるポジションで決まるからです。
そのため、むやみやたらに「年収増のためにスキルアップだ!」と動くのは効果的ではありません。
どのポジションを狙うのかが重要なのです。
山の頂上を目指すにあたって、「とにかく登りはじめないと!」といって、ルートや装備を確認せずに突っ走るのは効率的ではないのと同じです。エベレストにそんな感じで登ったら命の危険があります。
サラリーマンがスキルアップして給料増を狙うなら、孫子の兵法にならい「敵を知り、己を知る」べきです。会社は敵ではないですが、相手となる会社が何を考えているかを推測しなければなりません。
そして、自分ともある程度距離が近いスキルでなければいけません。
外科医は給料がいいかもしれませんが、サラリーマンにはそのスキルは簡単には身につけられない。
医師になるのに興味が持てないなら身につけるべきスキルからは除外した方がいい。
では、会社にとってウケがよいスキルとはどのようなものでしょうか。
2 採用企業が求める内容が職務経歴書に書かれていればその人はハイスキル会社員
端的に言って、転職市場価値が高いといえるスキルとは、職務経歴書が充実しているかどうかです。
職務経歴書が充実しているとは、自分が転職したいと考えているポジションの採用者が見て「お、この人はいいな」と思えるような職務経歴書になっていることを意味します。スキルの高い・低いは企業が決めますからね。
採用企業が欲しいと思っているスキルや経験が書かれていないといけません。
いかに自分で「このスキルは貴重だ」と思ってるかは関係がありません。
あなたが世界一おいしい味噌ラーメンを作るスキルがあったとしても、採用担当者がとんこつラーメンが好きでとんこつラーメンを作る人を採用したいと思っているなら、あなたはとんこつラーメンに関わる事柄を職務経歴書に書くのがよい作戦です。
なぜそんなに職務経歴書が重要か。
「スキル」は目に見えませんし、転職前に確認するのは困難です。
多くの場合、転職者のスキルは職務経歴書によって判断されます。
職務経歴書以外にテストが課されることもあります。CFOポジションに応募してテストがあったという人もいます。
私も契約書の条項を書けとか、契約内容について議論する、といったテストが課されたことがあります。
テストもあるところはありますが、ない会社の方も多く、またテストを課す会社も職務経歴書は必ずチェックします。
職務経歴書こそが転職における最大のスキルチェックポイントなのです。
つまり、転職で高い年収を得るためのスキルを身につけるという観点でいえば、狙っているポジション(1社でなく、複数社やある程度広がりのある範囲でもOK)の採用者にウケの良い職務経歴書にする活動こそがサラリーマンが転職市場価値を高めます。
3 サラリーマンはどうやってスキルアップすべきか
採用企業ウケするスキル(職務経歴書に書いて効果があるスキル)はどうやって獲得するべきでしょうか。
(1) 現職を頑張る
今の職場で職務経歴書に書ける仕事の経験を積むのが一番手っ取り早いです。
仕事でやったことはすぐに職務経歴書に書けます。
したがって、転職市場価値をあげるような「スキルアップ」がしたいのであれば、今の職場で職務経歴書に書けるような仕事をするべきです。
上司に積極的にそうした仕事がしたいと言うべきです。
今の部署でそれが叶わないのであれば、異動することもありえます。
私が複数いた職場の中では、とある日系大手企業が一番”スキル”が求められない職場でした。
ボーっとしていたり、誰も読まないマニュアルや社内研修等の社内資料等の作成をやったり、あるいは低スキルでも「私は優秀です」と偉そうな顔をしているだけでも全然平気な職場。
そこで漫然といても職務技能が高まるわけではありません。
しかし、この職場は、私の転職市場価値を高める「スキル」をたくさん身につけさせてくれました。
なぜかといえば、この会社で働いていた時期に関与した仕事が、職務経歴書上でなんかいかにもすごそうなことをしていたような雰囲気を醸し出してくれたからです。
たとえば、海外M&Aプロジェクトで日本の本社から各国の法務部員や外部法律事務所に法務関係の指示を出したりしていたりしていました。
私の実力があるからやっていたのではなく、たまたまそうしたプロジェクトに関与していたので、それをそのまま職務経歴書に書いただけ。
法律事務所で取り組んでいた小さな案件の方が大変で腕が問われるものであったとしても、職務経歴書上はあまり見栄えがよくありません。
このように、現職で職務経歴書の見栄えを良くしてくれる仕事をするのは、転職市場価値を上げる「スキル」獲得につながります。
(2) 転職する
前記(1)の考えからすると、転職すれば転職市場価値を高めるスキルが身につく可能性が高い。
なぜかといえば、転職をすれば、新しい職場に移ってそこで新しい仕事をすることになります。
そうすると、職務経歴書にはこれまでなかった仕事の経歴を書けるようになります。
つまり書くことができる経験が増える。
もちろん、転職するのは現職場で頑張るのに比べてたら一大事業です。大変です。
そう考えると、転職よりはるかにお手軽な現職場でのスキル獲得をまず目指すのが妥当です。
転職はそれと並行して考えるべきです。
転職はスキルアップのためだけでなく、様々な要因を考慮して決断すべきです。
転職先でより高い市場価値を得られるスキルが身につくかも考慮要素にするのがよいでしょう。
私なら、転職先に転職して、そこでする仕事は自分の職務経歴書をよりパワーアップすることになるかは応募前に必ず考えます。
(3) 資格を取る
転職市場価値を高めるスキルアップという観点からすると、現職や転職に比べると資格はインパクトが劣ります。
資格試験のために勉強をすることは良いことです。勉強になります。
しかし、その資格は、自分の職務経歴書を飾ってくれるのか?
自分が将来転職したいと思っている会社に応募する場合にその資格は効果的なのか?
こうしたことを考えねばなりません。
医師や弁護士のように資格がなければ就職できない職場に行きたいのであれば、資格は必須です。
他方で、資格があると役に立つ、という場合もあります。
会社法務部に転職したいのであれば、弁護士資格は必須とされていないことも多いです。
しかし、会社法務部であれば弁護士資格はあった方が有利です。
資格でメジャーなのがTOEICです。
英語ができる人材、英語に抵抗感がない人材を求める企業は多いため、広く認知されているTOEICは大変役に立ちます。高得点はけっこう効果がある。
職務経歴書に書いてあれば採用者が日本人であれば、すぐにその目に止まるはずです。
資格を取ることでスキルアップを狙うのであれば、自分が行きたい職場に応募する場合にそれがどの程度効果的なのかを考慮すべきです。
(4) 副業はどうか
サラリーマンとして転職市場価値を上げるという点でいえば、副業はおすすめできません。
直接的に職務経歴書に書けないからです。
副業をやって何かの腕前が上がることはあるかもしれません。
しかし、職務経歴書に書けないとアピールが難しい。
「スキルアップしなきゃ!」となんとなく副業をやって貴重な時間の浪費にならないよう気を付けましょう。
その副業は何のためにやるのか。
(5) 勉強はどうか
勉強をすることは大変えらい。勉強している社会人は少ない。
しかし、残念なお知らせがあります。
勉強しても直接的には転職市場価値は上がりません。勉強したことは職務経歴書に書けないから。
職場と転職でそれらしい仕事をとりあえずやって職務経歴書にいかにもしっかり者な感じで書いてポンポンより良い職場に転職を繰り返す人は、年収を上げるのに勉強をする必要はありません。
そういうジョブホッパーはたくさんいます。
私はそれはあまり良いことだとは思っていません。
勉強をして日々の仕事の中で活用して真のスキルを身につけてより良い仕事をすることこそが真のスキルアップのはずです。
そして、そうして身につけたスキルで実践した仕事の成果をバッチリ職務経歴書に書くというのがあるべき姿と言えます。
本記事は表面的な部分を述べたものですが(表面は重要です。)、中身も伴う方がいいですね。
4 転職市場価値を上げるために良い職務経歴書を書く
高年収にふさわしいハイスキル人材かどうかは多くは職務経歴書で判断されます。
逆算すれば、ハイスキル人材になるためには職務経歴書の記載をしっかりする必要があります。
クリスチアーノ・ロナウドが、サッカーのことを知らないけれども上手なサッカー選手を採用しなければならない人が採用担当者をやっている会社に雇ってもらうには、職務経歴書に「特技:サッカー」と書くだけでは足らないのです。
実際には中途採用の場合は、職務経歴書を読む人はその仕事のことをわかっている人が読む可能性が高いため、このような極端なことは起きません。
しかし、相手に突き刺さる書き方になっているか、読んでもわからないかでは雲泥の差です。
転職市場価値を高めるには、自分を売り込む武器としての職務経歴書を磨きあげなければいけません。
5 会社員が転職市場価値を上げるためのスキルを知るには転職エージェントに会うべき(身につけるべきスキルを求人票から知る)
転職市場価値の高いスキルとは、採用企業が決める、ということを前述してきました。
ではどうしたら採用企業に人気のあるスキルを知ることができるでしょうか。
直接的に知る方法があります。
企業の求人票を見ればよいのです。
自分が興味のある会社、ポジションの求人票を見てみましょう。
どんなスキルが必須またはあれば尚可なのかが示されています。
これらは、自分が目指すべきサラリーマンの指針になります。
そうした求人票を見るにはどうしたらよいか?
これは簡単です。
転職エージェントに登録する。
リクナビNEXT等の転職サイトもたくさん求人情報がありますが、転職サイトよりも転職エージェントの扱う求人情報の方が年収が高いです。
なので、転職市場価値をあげたいと考えるならば、転職サイトよりも転職エージェントに登録して求人情報を見るべきです。
気軽にたくさんの求人情報を見るなら、大手のリクルートエージェントとdodaがおすすめです。
この2社であれば、自分でシステム上にアクセスしてあれこれ求人情報を検索し放題です。
この2社以外の転職エージェントだと、あまりシステムが充実しておらず、転職エージェントからのメールが情報源になっており、自由に求人情報をたくさん見ることができません。
そしてやはりこの最大手2社は求人情報数も多い。
手っ取り早くあれこれ求人情報を見るなら、この2社に登録しましょう。
担当者との面談はありますが、「今すぐ転職とは考えていないが、どのような転職先があるか知りたいから登録しました」というスタンスで全然OKです。
私は30社以上の転職エージェントに登録していますが、ほとんどこんな感じのことを言っています。
リクルートエージェント転職支援サービス一切転職エージェントと面談をせずにすみ、匿名のままあれこれ求人を見ることができるのが、ビズリーチとリクルートダイレクトスカウトです。
これらは、会員登録をしておけば、たくさんの転職エージェントから「会員番号12345様、あなたの経歴を見てこのような会社がいいと思いました」と連絡が来ます。
そこであれこれ転職エージェントが勝手に「あなたにはこの会社がいいですよ」という求人票を送ってきてくれるのです。
注意点は、年収600万円未満にはやや厳しいところです。
本記事で紹介したような転職市場価値を上げるスキルアップには、どのようなスキルを身につけるべきかの見取り図となる求人票が必要です。
たくさんの転職エージェントに登録して求人票を手に入れましょう。
私は転職に興味がない時期でも常時無料登録している転職エージェントから求人票が送られてきており、どんな求人があるのかいつも見るようにしています。
気が向かないものはほぼ無視しています。
気楽にどのようなスキルが求められているかを知ることができます。
転職市場価値アップに興味がある人はぜひ複数の転職エージェントに登録して多くの求人情報を見るべきです。目指すべきハイスキル人材の手掛かりが見つかります。
コメント