転職エージェントには、平気で嘘をついてくる人がいます。けっこういます。
本人に「嘘つくな!」と言っても、「嘘なんか言ってませんよ」と反論してくるはずです。本人は嘘とも認識していない。
私が転職エージェントに相談して目にしたひどい転職エージェントの嘘と言動を列挙します。
1 おすすめでない求人を「おすすめです」といって応募を勧める
これはもう転職エージェントあるあるとしかいいようがありません。
どの転職エージェントだってこれをします。
この会社おすすめです!応募しましょう!
問題なのは、この転職エージェントは、その転職希望者にとってその会社がどうしておすすめなのか大して考えていないことです。
(俺なら絶対応募しないな、この会社)
上記のように思ってる可能性はあります。
ただ、自分なら応募しない、と考えている転職エージェントは多少マシな点があります。当該会社がいい会社かどうか自分で分析しているからです。
とはいえ、自分でおすすめできない点を知りつつ転職希望者にそれを伝えないで応募を勧めるとはひどいにもほどがあります。
「転職希望者にとっては良い会社ではないが、転職エージェントにとっては良い会社」というのはたくさんあります。
転職希望者と転職エージェントは、利害が一致していない部分があるのです。
入社難易度の低い会社にサッと手間なく入社してくれるのが転職エージェントにとってはとても都合がいい。
転職エージェントにキャリア相談していいの?の記事で書いた体験談では、マッキンゼーやBCGといった難関コンサルとワークスアプリケーションズという会社を「どっちも同じです」と言って応募させようとした転職エージェントのことを書きました。
多くの転職エージェントにとっては、転職希望者が有名企業でキャリアを順調に積もうが、無名企業でその後転職が難しくなろうがどうでもいいのです。
とある転職エージェントとの面談では、実はおすすめではない転職エージェントを勧めていることを認めたということがありました。
ある転職エージェント剛田さんと転職希望者にゃんがーとの面談例の設定(架空です)
・転職希望者にゃんがーは、現在ソニーグループ株式会社勤務
・転職希望者にゃんがーは、いますぐ転職したいわけではなく、とてもよい会社があれば転職したいと思っている。
東芝ツーリスト株式会社、株式会社三菱電機ライフネットワークへの応募をおすすめします!
こう勧められた転職希望者にゃんがーのコメント:
剛田さん、私がもし今無名の中小企業に勤務しているとして、転職先候補に①ソニーグループ、②東芝ツーリスト、③三菱電機ライフネットワークの3社があったとしたら、ソニーグループを1番にお勧めしませんか?
この質問に対する転職エージェントの回答↓
・・そうですね。
転職希望者にゃんがーから追加コメント:
私はもうそのソニーに勤務しているんですよ。転職するの本当におすすめですか?
これに対して転職エージェント剛田さんがどう回答したかは覚えていません。ただ、それ以上応募は勧めてこなかったとは思います。
(上記の勤務会社と候補先会社は全て架空の設定です)
転職エージェントは、とにかく転職してほしいというのがよくわかります。
しかし、転職を考えている時は、転職先候補だけ考えては失敗します。必ず現職と比較すべきです。
転職エージェントが、転職希望者にとって良いか悪いかもよくわからず応募を勧める理由は単純です。売上になる可能性があるからです。
内定を取って入社してくれてはじめて転職エージェントの売上が発生します。
応募してくれないと売上は発生しません。
下手な鉄砲数うちゃ当たれの精神で、転職エージェントからすれば転職希望者にはまずは応募してもらいたい。バッターボックスに立ってほしい。
そして、どうせなら内定を取る確率の高いところに応募してほしい。手間がかからないから。
こんな転職エージェントひどいと思いませんか?
私は思います。
しかし、転職エージェントには必殺の言い訳があります。
決めるのは応募者様です
イマイチな会社をゴリ押ししつつ、決めるのは応募者であるので、自分の罪はないというのが転職エージェントです。
これは弁護士もコンサルもしょっちゅう言うことなので(「我々はアドバイスをします。決めるのはクライアントです。」)、そんなに責められない。
転職エージェントに頼りすぎてはダメなのです。
転職で応募をためらうのは賢明な対応です。
転職エージェントにキャリア相談しようなどと考えないようにしなければなりません。
2 内定をもらったらその会社が世界一おすすめ
転職エージェントは、自分の担当する転職希望者が自分経由で応募した会社から内定をもらったら、目の色を変えて「内定受諾しろ」と迫ってきます。
転職希望者が「ちょっと考えます」とでも言おうものなら、いかにその内定を出した会社が素晴らしいかを語り、「返事は早い方がいい」とプレッシャーもかけてきます。
ちょうど他の転職エージェント経由で他の会社からも並行して内定を取っていると、なんだかんだ言って、自分の会社から出した会社を勧めてきます。
架空の事例その②
転職希望者にゃんがーは、2社の転職エージェント(A社とB社)からそれぞれ1社ずつ内定をもらった。
転職エージェントA社経由で取った内定:グーグル不動産株式会社
転職エージェントB社経由で取った内定:株式会社アマゾン興産
この事例だと、転職エージェントA社とB社は別のことをいいます。
A社:「グーグル不動産がいいですよ!」
B社:「アマゾン興産がいいですよ!」
当然そうなります。
A社もB社も、転職希望者にゃんがーが内定を受諾して入社してくれたら売上が発生します。大金は目の前です。
グーグル不動産とアマゾン興産への転職では、以下大きな差があります。
グーグル不動産:契約社員
アマゾン興産:正社員
アマゾン興産は名前からしてブラック企業っぽいですが、グーグル不動産の契約社員という条件はいただけません。
そう転職エージェントA社に伝えると、ああだこうだ言ってグーグル不動産を勧めてきます。
グーグル不動産様は契約社員という条件ですが、契約を切るというつもりはないとお聞きしています。にゃんがーさんが働くのに最高の職場だと思います。
あれこれ言ってグーグル不動産を勧めてくるが、グーグル不動産の欠点はあまり言ってこない。
そんな中、転職希望者にゃんがーは、別の転職エージェントCに、グーグル不動産とアマゾン興産のどちらがいいか質問してみた。
転職エージェントC曰く、「契約社員と正社員だったら正社員の方がいいに決まってますよね」。
たしかにそうだ。勝負あり。アマゾン興産の内定を受諾しよう。
転職エージェントAはいい人でしたが、やはり内定が目の前になると転職エージェントとしての本性を現したのでした。
3 転職エージェントは、会社、業界、ビジネス、仕事、キャリア、応募者もろもろについて知ったかぶりをする
転職エージェントの仕事は、人材紹介業です。転職希望者を採用企業に照会するのが仕事です。
しかし、それに関連して「この会社はこうです」「その業界は有望です」とか会社について漠然と語り、キャリア論についても語ります。
中身の薄い抽象論が多いです。
転職エージェントはビジネスのこと全然詳しくないんです。それでも上から目線で転職希望者に語りかけます。
応募者のこともざっくり職務経歴書見て数十分面談して、その人のキャリアの手助けをしようなんておこがましいにもほどがある。
それでも転職エージェントは、自分の能力外のことをやっていることに気づきません。
転職エージェントは、人材紹介業というコアコンピタンス領域に留まるべきです。転職希望者も、転職エージェントが何か言いこと教えてくれるというクレクレ精神で転職エージェントと向き合うべきではありません。
4 転職エージェントは職務経歴書を全然見てない
転職エージェントは「職務経歴書添削します」とうたっていますが、きちんと添削してくれた転職エージェントはいません。
面倒くさいからやらないんですよ。
そして、多くの転職エージェントの仕事はただ右から左へ転職希望者を紹介するだけであり、どんな職務経歴書が良いかをあまり検証していません。
私は50人以上の転職エージェントと面談していますが、どのような職務経歴書が通りやすいかが面談で話題になったことはありません。
書類通過率は10%台くらいと言われていることを考えると、職務経歴書は極めて重要な書類であるにもかかわらずです。
私がいいかげんに作った職務経歴書を転職エージェントに提出してから転職エージェントとの面談でこう質問します。
にゃんがー「私の職務経歴書はどうでしょうか?良くないところがあれば指摘お願いします」
大丈夫ですよ。応募しましょう。
ほんとにみんなこれ。
全然職務経歴書見ない。
どういう職務経歴書が効果的かも考えてない。
そんなことに時間かけるなら、多くの転職希望者に応募させる方が効率がいいからでしょう。
私は裁判の準備書面等を作成する仕事をしてきており、重要な書面でのアピールを軽んじる人をまともなプロとは思えません。
5 転職エージェントは勝手に応募する
これは厳密には転職エージェントの嘘ではないですが、よく聞く転職エージェント被害です。
転職エージェントに渡した職務経歴書を使って、転職エージェントが勝手に応募してしまうということです。
ただ、私が「応募する」という前に転職エージェントが応募していたと思われるような事例には私も遭遇したことがあります。
リクルートエージェントとかdodaとかならシステム上で応募なので勝手に応募されることはありませんが、そうではない転職エージェントとのやりとりでは「まだ応募しません」とはっきりいいましょう。
エリートネットワークなどはいくつかの転職エージェントは最初の面談ですぐに応募先決めろと言ってきました。
口車に乗せられてすぐに応募すべきではありません。
6 噓つき転職エージェントの使い方
転職エージェントが全員嘘つきとは言いません。
いい人もたくさんいます。
しかし、転職エージェントがどんな仕事なのか、転職希望者である自分との利害の一致・不一致を知って、求人情報の紹介を受けるという本来的な役割をコアとして活用すべきです。
企業も転職エージェントも複数をよく吟味してから応募しましょう。
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