司法試験合格者の大半は、合格後に司法修習に行きます。
修習に行かなくても弁護士になれるルートはあるのですが、ほとんどの合格者は修習に行きます。
そんな司法修習ってどうよ?という記事です。
1 司法修習は受けない方がいい?その価値はあるか
無職の人で司法試験合格後にこれといってやりたいことがなければ司法修習は行く価値がある。
他にやりたいことがなければ間違いない選択でしょう。
社会人の司法試験合格者でも、現職場を辞めたいなら司法修習に行くのは悪くない。
難しいのは、社会人の司法試験合格者で現職場を離れたいとは思っていない人です。
やはり収入の大幅ダウンは気になります。
後述するとおり「司法修習生の給与は安い」と思う人には司法修習どうしようかな、、となるのも無理はありません。
「それくらいもらえるなら悪くない」と考える人は修習に行く意欲が湧くでしょう。
年収ダウンを受け入れてまで司法修習に行くべきか、主観的な司法修習のメリットをあげてみます。
(1) ありがたい司法修習同期
司法修習生は、全員が司法試験合格者です。
司法修習生になれば、同期はみんな司法試験に合格した人なのです。
ふと考えるとこれはすごい。
自分が司法試験関係者であってもなくても、司法試験合格者の集まりってすごいなあと思います。
司法修習生になるということは、自分もそんなエリート集団の1人になるということです。
修習同期の友達もできます。
エリートの集まりの中に入り、同期の司法試験合格者のことを「すごいですね」と持ち上げる必要もなく、対等の関係を築くことができる。
これまであまり考えたことはなかったですが、よく考えるとそんな集団のメンバーであることは誇らしいことです。
私はあまり修習同期の集まりを重視していないのですが、それでもこのように思います。
また、修習同期であるというだけでは知り合いですらないのでけっこうどうでもいいのですが、修習時代に友達になった人達はとてもありがたい存在でもあります。
司法試験に合格して、その後法曹として働くような友達は司法修習同期しかいません。
同じような境遇について話せる友人がいるというのはいいものですよ。
自分の所属する組織(法律事務所や会社)で相談相手がいないときに、私はたまに修習同期に電話して質問したりします。
法律事務所で働いている修習同期は仕事の紹介をしたりもしていることもあり、法曹として働く上では修習同期と太いパイプがあるのはプラスであることは多く、マイナスになることはあまりないように思います。
(2) 司法修習で学ぶ実務
司法修習生の多くは司法試験に合格して気が抜けてあまり勉強する気がない感じがします。
しかし司法修習で学ぶことは意外に役立ちます。
私は、民事裁判の実務研修をかなりがんばって裁判所で遅くまで事件記録を読んでいました。
- 「読みにくい準備書面ばかりだな」
- 「裁判官は毎日毎日ひたすら長時間こんなの読んでるのか」
- 「こうしたら読みやすくなるんじゃないか」
- 「答弁書の認否って、訴状と照らし合わせるのすごいかったるいな」
色々な感想を持ちました。
裁判官も夜遅くまで仕事をしていますので、同期修習生や裁判官とよく話しをしました。
「あー、まだこの事件の証拠説明書読んでなかったあ~」という裁判官の声。証拠説明書って読むものなのか!と思いました。
準備書面だけ一生懸命作って証拠説明書はちゃちゃっとあまり考えずに作る弁護士は多いと思います。私は修習の経験から証拠説明書もよく考えて裁判官へのアピールになるよう作ろうと思うようになりました。
「超膨大な記録がある重い事件の判決を書くには、記録は1回だけしか読めない」「民事訴訟の迅速化が図られる前の時代には、異動してきた部長によっては、『この長期化してる事件は俺がいるうちは終わらない。適当に流しておけ』と指示する人もいた」といった裁判所にまつわる話も聞けました。
私は弁護士志望でしたので、訴訟弁護士はどのような訴訟活動をするのが効果的なのかを考えながら民事裁判実務修習に臨んでいました。
同期で実務修習に力を入れる人は少なかったですが、私はがんばって本当によかったと思います。
訴状や証拠について裁判所がどう考えるか自分なりのアイデアを築くことができ、弁護士として働くようになってからそのアイデアをよく使っています。
2 司法修習生の給与は安い
現在の司法修習生の給与は月給13万5,000円と住居手当上限3万5,000円のようです。
一時は給付制から貸付制になっていましたが、給付制が復活しました。
昔は基本の月給が20万円くらいでしたので、けっこうな減額になっています。
そういえば昔は司法修習生はボーナスもあって驚きました。今でもボーナスはあるのだろうか。
修習に行って弁護士になればどの程度稼げるようになるかの見込みに関する記事。
3 司法修習と弁護士登録
司法修習を修了すれば弁護士登録ができます。
司法修習を修了しないと弁護士登録はなかなかできません。
弁護士になれるかなれないかも司法修習に行くかいかないかの大きなポイントでしょう。
なかには「司法試験合格」とだけ名乗れればよく、弁護士にならなくていいと思う人もいるかもしれません。
ただ、やはり弁護士を名乗ってバッジを手に入れたいという人は少なくないと思います。
本記事では司法試験合格後には会社ではなく法律事務所で働くことを勧めていますが、学者や超大企業で法務部長になったような人でもない限り、法律事務所で働くには司法修習修了・弁護士登録が必要になります。
社会人で司法試験受験にチャレンジに興味がある人はぜひ以下記事もご覧ください。
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