転職エージェントと正しく付き合うコツは、転職エージェントに対する自分の期待を正しく設定しておくことです。
転職エージェントへの期待値が過大だと転職エージェントに失望することになり、応募者にもよくありません。
転職エージェントは無理を叶えてくれる存在ではありません。
相談内容が転職エージェントに相談するべき内容か考えなければなりません。
どんな優秀な騎手でも、駄馬に乗っては良い結果は出せません。
応募者がしょぼければ、よいポジションを得ることは難しい。
1 現職場の条件を大きく超える転職先は少ない
現年収400万円の人が、年収1000万円以上の職場に転職できたらうれしい。
しかしそううまくはいきません。
そんな簡単ならみんなすぐに高年収の仕事にバンバン転職し、手数料ビジネスの転職エージェントも大儲けでみんな豪邸に住んでいるはずです。
人材紹介会社の従業員の給料はやや高めですが、ぼろ儲けの給料ではありませんし、離職率も高い。
転職エージェントはそれなりに大変なのです。
そんな転職エージェントに対して現実離れした希望条件を伝えて転職しようとしても生産的なやりとりにはなりません。
無理難題をつきつけるとこんな感じのやりとりになります。
転職エージェント:転職時の希望最低年収はいくらですか?
転職希望者 :1000万円です。
転職エージェント:(ちょっと顔を曇らせて)現年収はおいくらですか?
転職希望者 :400万円です。
転職エージェント:一般的には、転職時には前の職場の給与が考慮されて、昇給幅は1.1倍あたりになるのが相場です。そのような大幅昇給をご希望される何か理由があるのですか?
以上のような感じの悪いやりとりになります。
この感じの悪いやり取りは、金額を変えて私のエンワールドとの面談をベースにしました。
2 転職時に現職の給料を考慮しない会社もあるが
ごくまれに、前職場の給料にとらわれずに高給をオファーしてくれる企業もあります。
日系よりも外資の方がそういうところが多そうです。外資系企業内の給与レンジが高く、前職場の給料が低すぎる、という場合に高給オファーにつながるのだと思います。
しかし、非常に少ないです。
その点で転職エージェントが語る一般論は間違ってはいません。
悲しい事実ですが、「一般的」として多くの転職エージェントに認識されている事実です。
3 無名企業から有名企業への転職も難しい
有名企業の求人には応募が殺到します。
有名企業の側からすれば、有名企業の応募者だけ面接してもかなりの人数になり、その中から選べば十分なはずです。無名企業の応募者も面接してたらキリがありません。
企業ブランドが乏しいと応募時のスクリーニングで切られてしまいます。
4 無名企業のハンデは年収よりも逆転の可能性はある
無名企業で働いている人の能力が低いとは限りません。
きちんと語れる仕事をやってきたのであれば、それをアピールして応募先との面接に挑めてしかるべきです。
有能な人が入社してくれるのが求人をする企業にとってもうれしいはずです。これまで何をやってきて、応募先にどう貢献できるかを説得的に語れれば、有名企業への転職は不可能ではありません。
年収大幅アップに比べると、無名企業から有名企業への転職の方が多いに現実的です。
とはいえ、無名企業所属は、有名企業所属より相対的に不利です。
この不利は、転職エージェントと要相談です。書類スクリーニングを通過して面接に呼ばれるように、転職エージェントから企業へ働き掛けてもらう必要があります。
また、面接に呼ばれても、面接後に転職エージェントに後押ししてもらう必要があります。
5 年収交渉も転職エージェントの仕事のうち
大幅年収アップは難しくても、そこそこの提示年収アップであれば転職エージェントの腕次第で上がる可能性があります。
転職エージェントは企業を大事にするのであまり年収交渉を熱心にやってくれるような気はしないのですが、年収が上がれば転職エージェントの取り分は増えるので、年収アップについては応募者と転職エージェントは仲間です。
転職面接で、「希望年収はおいくらですか?」と聞かれることがあります。
ある転職エージェント(そのときはロバート・ウォルターズだった気がします)は、このように対処せよと教えてくれました。
「希望年収を聞かれたら、曖昧に答えてエージェントがやりとりするよう答えてください。交渉はこちらでします」
こうやって断言してくれた時は非常にやりやすかったです。
6 転職エージェントに過度な期待をする弊害
転職エージェントは、手持ちの優良求人情報を全て転職希望者に開示することはしません。
「好条件の案件とりあえず教えてほしいなぁ」と転職エージェントに対して思う人がたくさんいると思います。
しかし、自分の身の丈に合わない超好条件案件は、紹介してもらわない方が転職エージェント、求人を出している会社、そして応募者みんなにとってよい結果をもたらします。
たとえば、20代、年収400万円、実績イマイチの人が、年収1000万円超のポジションで内定をもらうのは非常に難しい。
しかし、本人は1000万円の年収がもらえるならほしい。ダメもとで応募してみたい。
そう思うはずです。
そういう人がたくさん出るとどうなるか。
転職エージェントは、応募にかかる事務処理が増えてしまいます。また、会社が求めていない応募者をたくさん紹介するエージェントは会社から信頼されません。
会社も、そうした求めていない応募者を選別するのは手間です。
では応募者にとって何が都合が悪いのか。転職エージェントの不都合がそのまま跳ね返ってきます。
つまり、事務処理が増えたエージェントは一人一人の転職希望者に割く時間が減ってしまいます。
相談に丁寧に乗ってくれなくなり、「転職希望者の将来なんか知るか!とりあえず応募させまくってどっかに会社にヒットすればいいんだ」と自暴自棄的な考えに至ります。
また、大手ではない専門系エージェントにお願いする場合、そのエージェントと会社とのパイプの太さを期待します。もし、転職エージェントが会社の期待を失ってしまった場合、そのエージェント経由で応募したときは、「あのダメエージェント経由の応募者か・・・」とレッテルを貼られて不利になってしまうかもしれません。
転職エージェントのためになることは自分のためになることもある。
自分の身の丈に合わないポジションばかりを追い求めるのは弊害がつきまといます。
7 無茶な期待は禁物だが、強力な後押しをしてくれる転職エージェントもいる
転職希望者の本来あるべき市場価値を転職エージェントは上げることはできません。しかし、市場価値のあり方、見せ方を工夫してくれるエージェント、応援してくれるエージェントはいます。
探すのは非常に難しいですが、そんな転職エージェントに会えると転職活動ではとても助かります。
ぜひ複数の転職エージェントにあって信頼できる人を見つけましょう。
信頼できる有能な人が見つかれば大変助かります。
そんなに複数のエージェントに登録してもいいのか?
大丈夫です。私は30社以上登録しています。1円もかかりません。
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